研究課題/領域番号 |
20H02606
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
掛谷 一弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80302389)
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研究分担者 |
町田 昌彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主席 (60360434)
浅井 栄大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00722290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジョセフソン接合 / テラヘルツ / 同期現象 / 共振効果 / 固有ジョセフソン接合 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究で、Bi2Sr2CaCu2O8単結晶基板上に形成した複数のメサ構造について、2つのメサを同時に発振させたときの偏光が個別発振の線形結合で表せることを前提として、その係数について、並列接続発振、直列接続発振を比較する目的で、メサ構造の異なる組み合わせも含めた偏光の測定を行った。 今年度の研究では、偏光の測定結果から、係数を求めてその系統性を抽出した。まず、メサの組み合わせについては、個別発振の特性が似ているものどおしの組み合わせが同期しやすく、さらに直列接続よりも並列接続の方が同期しやすいことが分かった。次に、線形結合係数の周波数依存性を求めたところ、概ね周波数に比例することがわかり、メサ構造下の超伝導基板における超伝導プラズモンがメサ間結合を介していると解釈される。 一方、メサ構造に外部よりテラヘルツ領域の電磁場を照射して、その非線形応答によりテラヘルツ波を放射しようとする試みを開始した。反射型テラヘルツ時間領域分光系を構築して、メサ構造から反射してくるブロードバンドテラヘルツ波のバイアスによる変化を観測したところ、発振領域に近いバイアス条件で非線形応答と思われる信号が得られた。この実験において、テラヘルツ波が試料に当たっているかどうか判断することが困難であったが、電動ステージで細かいステップでクライオスタットを動してそれぞれの位置での反射を観測することにより、比較的容易に試料位置が発見できるようになった。この成果が基盤にある。 また、デバイス条件を最適にするために、まずは無次元の回路モデルでの実験結果の再現を試みたところ、同期発振現象が部分的に説明できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度得られた成果を論文にまとめることができたほか、外部励起による非線形応答の聴講が観測された。さらに、回路モデルによる解析で成果が得られただけでなく、購入したソフトウェアにより放射電磁場の計算が可能となり、今後の研究の加速が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
外部電磁場とメサ構造の結合について、研究分担者だけでなく、研究代表者も計算することが可能になったので、相互に情報を交換して進めていく。デバイス作製を高度化させ、再現性の高いデバイス作製プロセスを目指す。
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