研究課題
最近、Mn(Bi1-xSbx)2Te4(MBST)という真性磁気トポロジカル絶縁体(IMTI)層材料が多くの研究者から注目を集めている。MBSTは、(Bi1-xSbx)2Te3(BST)の各5層(QL)の中間に1層の高秩序Mn単層が自己組織化した7層(SL)から構成されており、高温でのこのような現象に適した舞台を提供する。特に、1つのBST QLが2つのMBST SLを分離するサンドイッチ構造において、ギャップの開いたTIのカイラルスピン状態によって媒介されるスキルミオンの観測に、IMTI系で初めて成功した。しかし、SL内のMn原子間の層内磁気相互作用や隣接するSL間の層間磁気相互作用の起源については、まだ不明な点が多い。QAHEやスキルミオンの動作温度を上げるためには、これらの系における磁気メカニズムの解明が急務である。そこで、MBST(SL)/BST/MBST(SL)サンドイッチ構造と、層内磁気相互作用のみを有するMBST(SL)/BSTヘテロ構造の2種類のMBE成長膜について、これらの磁気相互作用のメカニズムを議論した。前者のM-Hヒステリシスは後者のM-Hヒステリシスの約24倍であり、これは強磁性が層間相互作用によってより安定化されていることを意味する。興味深いことに、サンドイッチ構造の2つのSL間の強磁性結合は、~10 nmの間隔でも存続している。さらに、Sb含有量(x)の増加により、両構造のキュリー温度が各SL内のMn原子の距離の減少とともに大きくなっており、面内格子圧縮により層内強磁性相互作用が増強されていることを示唆する。これらの結果は、MBST多層系で報告されている超交換メカニズムとは一致せず、むしろ我々の試料における強磁性は、トポロジカルバンド構造に関連するvan VleckモデルまたはBloembergen-Rowlandモデルによって説明できる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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