研究分担者 |
穂坂 綱一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター, 主幹研究員 (00419855)
足立 純一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (10322629)
下條 竜夫 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (20290900)
星野 正光 上智大学, 理工学部, 教授 (40392112)
村松 悟 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (40837796)
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研究実績の概要 |
核燃料サイクルで発生する放射性廃棄物の減容化及び有害度低減に向けたマイナーアクチノイド(MA: Am, Cm)の分離回収において、新規抽出剤の長期利用や安全性に係る課題である放射線分解の初期反応、特に電離(またはイオン化)を明らかにする光電子分光実験を行った。分子量が大きく、誘電率や蒸気圧の低い新規抽出剤HONTA(N,N,N’,N’,N’’,N’’-hexaoctylnitrilotriacetamide)は、一般的な真空導入手法ではガス化が困難であるため、金板塗布した液体HONTAをリファレンスとして、温度制御でマイルドな加熱やマトリックスと混合・非破壊的なレーザー脱離を検討した。 R5年度では、金板塗布した液体HONTAに対する真空紫外光の測定条件等を最適化し、価電子領域にある束縛電子の放出エネルギーを明らかにするとともに、量子化学計算との比較によって、それら電子の分子軌道を帰属した。中心アミンの不対電子やカルボニル基酸素(及びアミド基窒素)の不対電子の束縛エネルギーが比較的低く、イオン化しやすいことを明らかにした。 また、マトリックスと混合・非破壊的なレーザー脱離では、液体HONTAとグラファイトの親和性を確認し、真空紫外レーザーで電離したHONTAの質量スペクトルから、熱分解せず、ガス化可能であることを示した。今後、真空紫外光と光電子・光イオンの同時検出を組み合わせ、電離直後のラジカルカチオンのダイナミクスを追求し、初期反応を明らかにする。 以上をまとめると、本課題では、新規抽出剤を真空導入する機器開発と条件検討・評価を行った。様々な装置にも装荷可能で、難揮発性分子(e.g. 生体分子や高分子等)に対する適用性が拡大したことで、新しい分光実験やデータの取得が期待できる。
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