研究課題
物質に力学的な力を加えたときにその物質が励起状態を形成し、発光する現象のことをトリボルミネッセンスという。申請者は希土類錯体を基盤としたトリボルミネッセンスの研究を行っており、近年、力学的な刺激で励起状態を形成に基づき強く発光する錯体設計を見出している。本研究ではこの配位子設計に基づき、力学的な刺激で形成する励起状態を利用して「化学反応」を起こせる新しい錯体材料を創成する。本目的を達成するために(1)アントラセン骨格を導入した希土類錯体、(2)触媒活性が生じうる金属種を導入した希土類錯体をそれぞれ合成し、摩擦刺激による反応性を評価した。その結果、(1)の系において摩擦励起反応に成功したので以下にその概要を示す。アントラセン骨格を導入した二座ホスフィンオキシド配位子とヘキサフルオロアセチルアセトナトから構成されるユウロピウム錯体について合成を行った。単結晶構造解析により、アントラセンが積層した二核ユウロピウム錯体を形成することが分かった。希土類イオンを変えたガドリニウム錯体も同じ配位子を用いることで、積層したアントラセン配位子がガドリニウム間をつないだ二核錯体が形成することが分かった。それぞれの希土類錯体について摩擦刺激による反応性を比較検討した。具体的には乳鉢で希土類錯体結晶をすり潰して、その反応性について検討した。ユウロピウム二核錯体は刺激による積層したアントラセンの酸化反応が起きることが明らかとなった。一方、ガドリニウム二核錯体は刺激により積層したアントラセンの二量化反応が確認され、金属イオンの種類により摩擦励起による反応性が異なることを初めて見出した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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