本研究では、実践的な合成法に基づき生み出した有機ヒ素化合物の構造・機能・物性の解明に取り組んだ。具体的には、多彩な新規共役系ヒ素化合物やヒ素含有金属錯体を合成し、その特徴を明らかにすることに成功した。共役系ヒ素化合物では、構造と発光特性の相関、励起状態でのダイナミクス、重原子効果による燐光発光性について、系統的に調査した。ヒ素配位子含有金属錯体においては、新たな配位子の合成ルートを開発したことで、合成可能な構造が大幅に拡大した。結果として、様々なヒ素配位子からなるライブラリー構築が実現し、金・銅・パラジウム・ユーロピウムなどの錯体がもたらす発光性・触媒機能・刺激応答性を明らかにした。
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