研究課題/領域番号 |
20H03082
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柏木 健一 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00447236)
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研究分担者 |
氏家 清和 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30401714)
上山 一 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80626226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミクロ経済分析 / 産業発展 / 産地育成 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、新型コロナウイルスの拡大によって、チュニジアとパレスチナのオリーブ生産者のミクロ調査を実施できなかったが、以下の研究を展開した。まず、食薬バリューチェーン中流において、地中海諸国におけるオリーブ油の輸出に関してグラビティモデルをGMMによって推計し、オリーブ油の貿易が従来の比較優位構造に基づくものではなく、産業内貿易が活発に行われていることを明らかにした。一方、食薬バリューチェーン上流において、過去に収集したヨルダン川西岸地区ジェニン県のオリーブ農家個票データを用い、農業協同組合への加入が農家の技術効率性と技術進歩率を向上させることを検証した。また、チュニジア・カイロアン県のオリーブ農家個票データを用い、DEAによる技術効率性と水使用効率性を推計し、効率性を説明するよう要因を解析した。このように過去に収集したデータを分析するとともに、現地統計局より、農業センサス、オリーブ製油工場データ等のミクロデータを入手し、データクリーニングを行った。他方で、バリューチェーン下流における消費者行動分析に関し、オリーブオイルに対する消費者選好を分析し、オリーブオイルの各種商品属性に対してどのような選好が存在するのかを定量的に明らかにした。消費者間の異質性を考慮したランダムパラメータロジットモデルによる分析を行ったところ、地理的表示、有機認証などのオリーブオイルの認証表示やオリーブオイルの品質に関わる酸度、価格が重視されていることが明らかとなった。また、原産地については、国内市場に多く存在するイタリア産が最も好まれており、次いでスペイン産が選好される結果となった。また、消費者属性との関係性も明らかとなった。なお、令和2年度に延期した調査の一部は、令和3年度に可能となったため、チュニジアにおいてオリーブ農家とオリーブ油製油工場の調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度にチュニジア中西部とヨルダン川西岸地区北部において、オリーブ生産者のミクロ調査の実施を予定していたが、新型コロナウイルス感染症による影響で令和3年度に調査実施を延期した。同年度は、新たなオリーブ生産者データを収集することができなかったが、過去に収集したオリーブ栽培農家データを用いて、チュニジアにおけるオリーブ農家の水効率性の解析を行うとともに、ヨルダン川西岸地区において農業協同組合がオリーブ農家の効率性に与える影響を分析した。また、川下のオリーブ消費者行動調査・分析を実施することで、研究計画を前進させた。なお、なお、延期した調査の一部は令和3年度にチュニジアにて可能となったため、オリーブ農家とオリーブ油製油工場の調査を実施し、ミクロデータを収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に延期したチュニジア中西部とヨルダン川西岸地区北部のオリーブ生産者のミクロ調査に関し、チュニジアでの調査については令和3年度に実施した。ヨルダン川西岸地区の調査については、新型コロナウイルス感染症の状況を注視しつつ、現地統計局と調査時期を再検討している。なお、追加調査が困難な場合は、現地統計局より農業センサス、オリーブ製油工場データ等の既存のミクロデータを購入の上、分析するとともに、川下のオリーブ消費者行動調査・分析を実施することで、研究を推進する。
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