研究課題
細胞の自食作用(autophagy)の中で、特徴的な二重膜構造のautophagosomeが中心的な役割を担うmacroautophagyにおいて、現在までの種々の遺伝的解析の結果、複数のautophagy関連遺伝子(atg)とそれらの働きが解明され、autophagyの分子メカニズムが明らかにされつつある。しかしながら、autophagosomeの形成、autophagosomeの外膜とリソソーム(哺乳類細胞)/液胞(酵母細胞)膜との融合あるいはautophagosomeの内膜の選択的崩壊などの機序については不明な点が多い。研究代表者らは現在までの検討により、酵母細胞においてホスファチジルイノシトール4リン酸(PtdIns(4)P)がautophagosomeの形成に、ホスファチジルセリン(PtdSer)がautophagosomeの内膜の選択的崩壊に関与することを示唆した。本研究では、PtdIns(4)PおよびPtdSerの輸送に関与するOsh (OSBPの酵母のホモログ)のautophagyへの関与を検討した。全てのOsh (Osh1-Osh7)を欠損した酵母細胞のautophagic活性は抑制されていることを見出した。さらにOsh5pを欠損した酵母細胞ではautophagosomeの形成が抑制され、autophagosome膜でのPtdSerの局在も減少していた。またOsh4pを欠損した酵母細胞では液胞内のautophagic body(autophagosomeの内膜)が蓄積し、autophagic body膜でPtdIns(4)Pが増加し、PtdSerが減少していた。以上の結果から、autophagosomeの形成にはOsh5pが、そして液胞内でのautophagic body膜の崩壊にはOsh4pが関与することが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochim. Biophys. Acta Biomembr.
巻: 1866 ページ: 184308
10.1016/j.bbamem.2024.184308