筋ジストロフィーは進行性の筋力低下を伴う疾患で、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は重篤かつ致死性でありその治療法の開発が望まれている。DMDモデルのmdxマウスは軽症であるが、我々はヒトDMDの症状を忠実に再現するDMDラットを開発し、DMDラット骨格筋では細胞老化因子p16が発現し、老化細胞が病態進行に関与する可能性を示した。p16欠損による老化細胞出現阻止や老化細胞除去薬ABT263の投与により、DMDラットの筋力や体重減少が改善し、線維化や脂肪化が減少した。さらに、DMDラット舌筋はジストロフィン欠損に対する抵抗性を示し、筋線維の壊死や再生がほとんどみられないことが判明した。
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