様々な生物のゲノムに存在する転移因子(TE)はゲノム進化の推力であるともに、ゲノム安定維持の脅威でもある。そのため、宿主により転移因子の発現は適正に制御されている。転移因子発現制御機構が欠失したショウジョウバエ変異体において、転移因子である内在性レトロウイルス(ERV)の一部が卵巣性体細胞内で過剰発現し、細胞外微粒子として生殖細胞へ伝播されていることが報告されている。正常な卵巣でもERVの発現が観察されることから、ERV細胞外微粒子を介した細胞間情報伝達機構の存在が期待される。本研究では、どのようにERV粒子が形成・伝播され、どのような生理的意味を持つのか、その包括的な理解を目指した。
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