研究実績の概要 |
DISC1ノックダウンマウス、Calcineurinノックアウトマウス、Poly (I:C) 投与モデル、NR1ノックアウト(Ke et al, 2016, Cell Rep)を含めた4つの統合失調症モデルで共通に見られた現象は、“巨大なスパイン”が有意に増加するという異常なスパイン体積分布であった。そこで、そこで、このような現象が精神疾患モデルの共通の病態生理であることの普遍性がどの程度あるのか、もしくはあるSubsetだけに見られる現象なのかを検証するために、ゲノムワイドで唯一、統合失調症および自閉症に有意と再現されている遺伝子SETD1Aに注目し、患者と同じ遺伝子変異を再現したSETD1Aモデルマウスに、これまでのマウスモデルと同様の解析を行った。具体的には、生後60日のマウス前頭野領域(PrL)から急性スライス標本を作製し、グルタミン酸アンケージングを用いた単一スパイン刺激を、巨大スパインを含む様々な刺激パターンで行い、同時に樹状突起におけるカルシウムスパイクをCal-520の蛍光値から求め、同時に膜電位および神経発火はホールセルパッチクランプの電気記録を用いて同一細胞より検出した。どのようなシナプス入力が(巨大なスパインへの入力が1か所でもあれば良いのか、複数必要なのか?樹状突起におけるスパインの分布は重要なのか?)、どのような樹状突起イベントを生じ(時間積分、空間積分の定量化)、神経発火を誘発するかを定量した。このような所見をまとめ、現在、投稿準備中である。
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