本研究結果により、慢性痛による不安亢進の神経機構として以下のような機構が示された。1) 慢性痛により分界条床核内の抑制性神経の興奮性が増大、 2)これにより外側視床下部に投射する分界条床核神経への抑制性シナプス伝達が増大、3)外側視床下部に投射する分界条床核神経の出力低下により下流への情報伝達が障害されることで不安が惹起される。さらに、外側腕傍核からの神経投射が分界条床核神経に痛みの情報を伝達している可能性を示した。また、分界条床核から外側視床下部に投射する神経の約半分が腹側被蓋野にも投射し、分界条床核から腹側被蓋野に投射する神経の約半分が外側視床下部にも投射していることを明らかにした。
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