研究課題
基盤研究(B)
善玉コレステロールと言われるHDLには、コレステロール引き抜き能の他、さまざまな生体にとって有用な多面的効果がある。この機序としては、HDL上のアポ蛋白M(ApoM)に結合したスフィンゴシン1-リン酸(S1P)が担っていると考えられている。本研究では、ApoM-S1Pは、糖尿病性腎症、敗血症、肝臓病などに治療的応用の可能性があり、また、これらの疾患の予後を示す臨床検査として有用であることが示せた。
臨床検査医学
動脈硬化性疾患以外に、HDLコレステロール濃度が予後と疫学的に関係があるとされる腎疾患、敗血症、糖尿病は、未だに治療法、検査法においてアンメットニーズが大きい分野である。本研究では、HDLのアポ蛋白M、スフィンゴシン1-リン酸がこれらの疾患に対して保護的な役割があることを示すことができた。この成果は、これらのアンメットニーズが大きい疾患に対する新しい治療法の開発や、これらの疾患の多彩な予後について予測することのできる検査法の開発につながるものである。