ソトス症候群(原因遺伝子NSD1)の精神発達遅滞は神経回路形成異常が原因と考えられるが、分子病態は不明である。本研究は、脳特異的ノックアウトマウスを用いて、精神発達遅滞の分子病態を解明することを目的とした。形態学的解析ではヒトと類似の所見に加え海馬の縮小を認め、行動解析では空間記憶の低下などを認めた。また、プロモーター領域のDNA低メチル化に伴って遺伝子発現が上昇すること、主にH3K27Acの減少に伴って遺伝子発現が減少することが明らかとなった。遺伝子発現変化に伴い、歯状回の樹状突起スパインの減少を認めたことから、本マウスでは空間学習そのものが低下していると示唆された。
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