研究課題
基盤研究(B)
現在、哺乳類の腎臓発生において、どのように細胞系譜境界が形成されるか不明である。これまでの研究で、マウス成体内において、転写因子PAX2の機能がネフロン前駆細胞における間質の形質を抑制することで、ネフロンと間質の間に細胞系譜境界が存在することを生体内で明らかにした。本研究によって、このPAX2機能はネフロン前駆細胞に特異的であることが明らかになった。さらに、ヒト腎臓オルガノイドにおいても、PAX2機能の一部が再現されている可能性が明らかになった。
発生生物学
哺乳類の腎臓発生における細胞系譜境界形成の機構は不明であるが、本研究成果であるPAX2機能を手がかりに、細胞系譜境界の形成メカニズムを解き明かせる可能性が開けた。またヒト腎臓オルガノイドを用いてヒトPAX2変異であるRenal coloboma syndrome (RCS)の疾患モデルを確立することで、より良い再生医療ための知識の基礎を築き、将来的に透析・腎移植の必要性を無くし、RCSを含む腎臓病患者やその家族の負担を軽減することに繋がると期待される。