エピゲノムは、代謝環境を感知して細胞の分化制御にかかわる。鉄は、ヒストン脱メチル化酵素とDNA脱メチル化酵素の活性に必須であるが、脂肪細胞分化過程において、細胞内の貯蔵鉄がフェリチノファジーにより供給されることを発見した。また、鉄輸送タンパクPCBPが核に移行することを見出し、これが脂肪細胞分化に重要であることを発見した。さらに、脂肪細胞分化誘導後にヒストン脱メチル化酵素JMJD1AやDNA脱メチル化酵素TET2の活性が鉄依存性に制御されてエピゲノムが書き換わり、その結果、脂肪細胞分化関連遺伝子の発現が誘導されることで脂肪細胞が分化するという一連の機構を明らかにした。
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