研究課題
基盤研究(B)
我々は、これまでに脊椎後縦靭帯骨化症(OPLL)のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、OPLLの発症と関連する14個のゲノム領域を発見している。本研究では、GWASで発見した領域の一つからOPLL発症に関わる遺伝子CCDC91を同定した。そして、CCDC91遺伝子の組織特異的な転写産物が、靭帯で非翻訳RNAとして働き、マイクロRNAの一つであるMIR890と結合することで、骨形成に関係する遺伝子を制御していることを明らかにした。
ゲノム医科学
OPLLは遺伝要因と環境要因の相互作用により発症する多因子遺伝病であると考えられているが、その成因、遺伝要因には不明の点が多く、その解明は医学上の大きな課題となっている。今回の結果は、靭帯細胞に特異的に発現する非翻訳RNAのネットワークが、骨形成の制御を通じて、OPLLの発症・進展に重要な役割を担うことを示している。今後、CCDC91-MIR890経路の骨形成における役割を詳しく調べることで、OPLLの病態の理解が進み、新しいタイプの治療薬が開発されると期待できる。