本研究では,骨格筋適応において観察される細胞の損傷から再生プロセスにおける細胞内カルシウムイオン濃度 ([Ca2+]i) および過酸化水素濃度[H2O2]iの時空間パターンとその制御機構の解明を目的とした.主な知見は以下の通りである.1) 骨格筋の伸張性収縮時,筋線維の伸展量に依存する [Ca2+]i変動パターンが存在する.2) 運動後の [Ca2+]i変動は,筋小胞体におけるリアノジン受容体によって制御され,筋損傷の誘発に関与する.3) 筋収縮による[H2O2]iの変化は小さく,運動時のCa2+蓄積を誘発する主因子ではないことが明らかになった.
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