研究課題/領域番号 |
20H04106
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
須藤 信行 九州大学, 医学研究院, 教授 (60304812)
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研究分担者 |
吉原 一文 九州大学, 医学研究院, 講師 (20444854)
高倉 修 九州大学, 大学病院, 講師 (40532859)
三上 克央 東海大学, 医学部, 准教授 (90548504)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経性やせ症 / 脳腸相関 / プレバイオティクス / 腸内細菌 / ディスバイオシス |
研究実績の概要 |
前年度の研究にて明らかとなった神経性やせ症(以下ANと略)の病態形成における血中アミノ酸減少の意義について検討した。具体的には、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)の摂取量の低下が食餌摂取量、体重、行動特性および腸内細菌に与える影響ついてマウスを用いて調べた。その結果、通常の餌を投与したマウス(CON群)では体重が増加したが、Tryを含まない餌を投与したマウス(Trp欠乏群)やTryとTryとPheを含まない餌を投与したマウス(TTP:3種アミノ酸欠乏群)では、食餌摂取が減少し、体重が減少した。また、行動実験では、TTP群は、CON群やDIR群よりも活動量が多かった。TRP群は、血中Trp濃度、脳の一部の領域のセロトニンおよびその代謝物の濃度が低下した。TTP群では、血中Trp、Tyr、Phe濃度、海馬のTyr 、Phe濃度、脳の一部の領域のセロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミン濃度が低下した。腸内細菌については、TTP群の腸内細菌の多様性が異なり、Roseburia属の相対量が減少した。このようにAN患者で認められた血中Trp、Tyr、Pheの濃度低下は、AN患者に特徴的な過活動と関連している可能生が示された。また新型コロナウイルス感染症による影響が徐々に緩和され、動物実験(課題1)と臨床研究(課題2)も順調に進んでいる。特に課題2では入院制限などによる影響で患者エントリーに困難をきたしていたが、今年度からは着実にエントリーが進みつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年8月までに、マウス管理協力者と実技を踏まえた検討会議、群別に実験を行い血中成分に関して評価を行い、令和4年3月までに、プロトコール作成、メタボローム解析・短鎖脂肪酸測定、マウス管理協力者と実技を踏まえた検討会議、成果とりまとめを行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症による影響で遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からは課題2に関するエントリーを本格化し、着実な進展を計りたい。具体的な概要は以下の通りである:当施設で入院治療を行うAN患者を対象とし、ケストースによる体重増加の増強効果が得られるかどうかをランダム化比較試験によって明らかにする。①10歳以上、49歳以下の女性入院患者、②構造化面接において、アメリカ精神医学会が刊行する「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」のANの診断基準を満たす患者、③文書により同意が得られる患者、を対象とし、対象者数を各群20人、ベースラインおよびベースラインから12週間後の2点において評価を行う。主要評価項目は、エネルギー摂取量あたりの体重変化量(体重増加量/累積エネルギー摂取量)とし、副次的評価項目として質問紙による身体・精神症状評価および一般末梢血検査、腸内細菌解析、メタボローム解析を実施する。
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