運動は生活習慣病の予防や治療に有効である。本研究では、運動が生活習慣病を予防する仕組みについて、骨格筋から分泌されるホルモンであるirisinによる自律神経作用があるか否か検討した。その結果、トレッドミル運動で血中で増えるirisinは、脳・視床下部に作用して交感神経活動遠心路の活性化と迷走神経活動遠心路の抑制を引き起こし、血圧上昇や頻脈も惹起させた。この仕組みに脳・視床下部の神経核や細胞内シグナル分子が関わっていることがわかった。さらに肥満動物へのirisin投与は脳・視床下部や特定の交感神経遠心路の活性化を惹起させて代謝亢進を引き起こし、肥満抑制に貢献することがわかった。
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