研究課題
胎児期の栄養環境は、児の発生発達過程に影響を及ぼし、生後数年から数十年経過した後の健康を左右する要因となる」ことが疫学研究によって示され、Developmental Origin of Health and Disease (DOHaD)という概念が生まれた。DOHaD説が示すように、胎児期の栄養環境が生活習慣病をはじめとする様々な疾患のリスク要因となることがこれまでに示唆されている。しかし、その分子メカニズムは未だ不明な点が多く、解明が望まれている。我々は、誰しもが日常的に摂取する天然甘味料であるフルクトース(果糖やコーンシロップ)に着目して研究を進めている。フルクトースの消費量はここ数十年で10倍以上に増加しており、様々な疾患の原因になることが知られている。フルクトースの大量消費社会に伴い、妊婦の消費量も増えている。しかし、母体を介したフルクトース摂取が子どもの発達に与える影響は不明であり、科学的な実証が求められている。これまでに申請者らはフルクトース過剰摂取問題における動物モデルを作成した。フルクトース過剰摂取の母ラットから生まれた仔は成長するに従って、代謝異常や認知機能低下などの悪影響を及ぼすことを明らかにしてきた。出生後、60日以降で脂質代謝異常が認められる。また、行動試験などで認知機能の低下を確認した。これらの異常にはDNAメチル化などのエピゲノムが関与することを明らかにした。現在、組織幹細胞の分離・解析方法を確立し、次世代の組織幹細胞の機能評価を解析している。組織幹細胞の機能評価として、分化・増殖能について解析をしている。2021年度は組織幹細胞の遺伝子発現の異常を明らかにした。変動した遺伝子についての機能を解析している。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
研究計画通りに進めていく。2021-2022年度に作成したモデル動物を使用して、異常な組織幹細胞の存在を証明し、その性質を明らかにする。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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巻: . ページ: .
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