研究課題
再帰的結合と身体性による意図推定メカニズムという提案仮説の主要部分について、計算モデルを構築するための実証的証拠を積み上げた。具体的には以下の4点を進めた。再帰的結合の思考傾向と他者意図推定の多様性の関係を実証的に検討する実験パラダイムを構築した。当初、再帰的結合の思考傾向を訓練する2×2(訓練する思考傾向×訓練前後)混合計画で進めたが、日常的に行う再帰的結合という暗黙的思考を訓練で変更する困難性が分かってきたので、実験パラダイムを変更した。具体的には、階層構造により複数の意味に取り得る複合語の意味を答える課題で再帰的結合思考の傾向を測った後に、イラストのキャラクターの内面を推測させ、その推測の多様さや流暢性などを計測し、その間の関係を分析する。アブダクションは興味深い事例を説明する創発的思考であり、複数概念から意味の創発をもたらす概念融合はその基盤になり得る。そこで、どのような場合に概念融合により意味の創発を生じる傾向があるかを、人間エージェント相互作用実験で検討を進めた。ある2つの概念を構成する属性の説明(事例)間に矛盾があり(興味深く)それを調和できると創発に結び付きやすいと考えた。そして、これを喚起する創発対話と対照条件である共通対話を設定し分析する枠組みを整えた。LEGOブロックを用いた共創的コミュニケーション実験で、再帰的結合操作の有無に仮説生成を含む創造性がどのように変化するかについて実験的な検討を進めた。また、仮説選択を担う身体性の検討を道徳ジレンマ課題で進める実験の中で、皮膚電気反応を計測したが、個体差が大きくうまく分析できなかったため、後悔という感情に焦点を当てた研究に方針を変更した。その結果、道徳判断の二重過程理論を改訂する形で予期的後悔を含めた道徳的意志決定のモデルを提案した。研究成果は、国内学会・国際会議で発表し、ジャーナル論文にまとめている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 2022
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
認知科学
巻: 31 ページ: 172~185
10.11225/cs.2023.073
巻: 31 ページ: 3~7
10.11225/cs.2023.087
Proc. of the Joint Sympo. of The 29th Intl Sympo on Artificial Life and Robotics, The 9th Intl Sympo on BioComplexity & The 7th Intl Sympo on Swarm Behavior and Bio-Inspired Robotics
巻: - ページ: 374-379
巻: - ページ: 369-373
HAIシンポジウム2024,
巻: - ページ: P-53
日本認知科学会第40回大会発表論文集
巻: - ページ: 455-458
言語処理学会 第29回年次大会発表論文集
巻: - ページ: 2237-2241
Consultants
巻: 300 ページ: 8-11
Journal of Robotics, Networking and Artificial Life
巻: 9 ページ: 221-228
10.57417/jrnal.9.3_221
巻: 29 ページ: 557~574
10.11225/cs.2022.024