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2020 年度 実績報告書

公正な脱炭素化に資する気候市民会議のデザイン

研究課題

研究課題/領域番号 20H04387
研究機関北海道大学

研究代表者

三上 直之  北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)

研究分担者 八木 絵香  大阪大学, COデザインセンター, 教授 (30420425)
江守 正多  国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 副研究センター長 (80300846)
田村 哲樹  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30313985)
松浦 正浩  明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (70456101)
池辺 靖  国立研究開発法人科学技術振興機構, 日本科学未来館, 科学コミュニケーション専門主任 (50791828)
工藤 充  大阪大学, COデザインセンター, 特任講師(常勤) (10775886)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード気候市民会議 / 市民参加 / 合意形成 / 科学技術社会論 / 熟議民主主義論
研究実績の概要

申請時の計画では、今年度、欧州において気候市民会議の先行事例調査やワークショップを実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響でこれらが行えなくなったため、2021年度に計画していた国内での活動を繰り上げる形で研究を進めた。全国で初めてとなる気候市民会議の試行が、今年度の活動の中心となった。
研究代表者・研究分担者らで実行委員会を組織し、札幌市や北海道環境財団、RCE北海道道央圏協議会と協働して、2020年11月から12月にかけて「気候市民会議さっぽろ2020」をオンラインで開催した。会議は、英国の先行事例などを参考にして設計した。住民基本台帳から無作為抽出した札幌市民3000人に案内状を送り、応募者の中から、市全体の縮図となるよう20人の参加者を抽選した。「札幌は、脱炭素社会への転換をどのように実現すべきか」をテーマとし、「脱炭素社会の将来像」「エネルギー」など、3つの論点を取り上げて議論した。各論点に関する専門家や市の担当者など11人の参考人のレクチャーを聞いた上で、参加者同士で議論した後、投票で意見をとりまとめた。
結果は、2021年1月に速報版の報告書として公表し、札幌市にも正式に提出した。3月には、より詳しい実施経過と結果の分析をまとめた最終報告書を発行するとともに、実行委員会と上記3機関の共催で報告シンポジウムを行い、今回の試行の成果について議論した。
一連の経過は、全国紙を含むメディアで10回以上にわたって取り上げられるとともに、各種セミナーにおける招待講演等でも報告の機会を得ることができた。今年度の活動全体を通じて、日本における気候市民会議の初めての実践例を形成し、実施方法や会議結果を合わせて全国に広く発信することができた。
なお、欧州における気候市民会議の動向についても、随時オンライン等で調査を進め、その結果を雑誌記事などの形で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、欧州に渡航して実施する予定であった先行事例調査やワークショップは、新型コロナウイルス感染症の影響で行うことができなかったが、代わりに予定を繰り上げる形で、全国初となる気候市民会議を試行することができ、十分な成果を収めることができた。このことから、研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

当分の間は国外での活動は難しい状況が続くと予想されることから、欧州における調査等を2022年度(最終年度)に延期して実施する可能性も視野に入れつつ、2021年度は、引き続き国内およびオンライン上での活動を中心に研究を進める。まずは、今年度実施した「気候市民会議さっぽろ2020」の結果の詳しい分析・考察とその発表や、札幌における会議結果の活用状況の追跡・検証を始めとするフォローアップの活動に力を入れる予定である。並行して、文献調査やオンラインインタビュー等を通じて、国内外の気候市民会議の動向の把握も継続していきたいと考えている。

備考

気候市民会議さっぽろ2020最終報告書(2021年3月)http://hdl.handle.net/2115/80604
気候市民会議さっぽろ2020報告書速報版(2021年1月)http://hdl.handle.net/2115/80247

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 5件) 学会発表 (1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ニューカッスル大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ニューカッスル大学
  • [雑誌論文] 気候市民会議と民主主義の刷新2021

    • 著者名/発表者名
      三上直之
    • 雑誌名

      環境と文明

      巻: 29(3) ページ: 7-8

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 気候変動問題をめぐる変化への抵抗:ミニ・パブリックスを通じた検討2021

    • 著者名/発表者名
      八木絵香
    • 雑誌名

      心理学ワールド

      巻: (93) ページ: 27-28

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 気候変動と民主主義 : 欧州で広がる気候市民会議2020

    • 著者名/発表者名
      三上直之
    • 雑誌名

      世界

      巻: (933) ページ: 174-183

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 欧州の市民が議論した「新型コロナと気候変動」2020

    • 著者名/発表者名
      三上直之
    • 雑誌名

      科学

      巻: 90(12) ページ: 1087-1093

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 気候変動問題をめぐる市民参加の可能性2020

    • 著者名/発表者名
      八木絵香,三上直之
    • 雑誌名

      環境情報科学

      巻: 49(2) ページ: 12-16

  • [雑誌論文] 気候危機の現状と文明の「卒炭素」2020

    • 著者名/発表者名
      江守 正多
    • 雑誌名

      哲学

      巻: 2020 ページ: 10-20

    • DOI

      10.11439/philosophy.2020.10

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 気候変動問題への「関心と行動」を問いなおす:専門家としてのコミュニケーションの経験から2020

    • 著者名/発表者名
      江守正多
    • 雑誌名

      環境情報科学

      巻: 49(2) ページ: 2-6

  • [学会発表] 気候市民会議:日本における可能性と課題2020

    • 著者名/発表者名
      三上直之
    • 学会等名
      第6回日本ミニ・パブリックス研究フォーラム
  • [図書] リスク社会における市民参加2021

    • 著者名/発表者名
      八木絵香,三上直之[編著]
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      放送大学教育振興会
    • ISBN
      9784595141508
  • [図書] Communicating Science: A Global Perspective(Toss Gascoigne, Bernard Schiele, Joan Leach, Michelle Riedlinger, Bruce V. Lewenstein, Luisa Massarani, Peter Broks (eds.), Chapter 22. ”JAPAN: Western science and Japanese culture" を分担執筆)2020

    • 著者名/発表者名
      Masataka Watanabe and Mitsuru Kudo
    • 総ページ数
      994(分担部分:521-538ページ)
    • 出版者
      Australian National University Press
    • ISBN
      9781760463656
  • [備考] 気候市民会議さっぽろ2020ウェブサイト

    • URL

      https://citizensassembly.jp/project/ca_kaken

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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