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2021 年度 実績報告書

ジェンダー公正な人事制度の提案―雇用管理区分の見直し実態と課題

研究課題

研究課題/領域番号 20H04448
研究機関聖心女子大学

研究代表者

大槻 奈巳  聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30356133)

研究分担者 斎藤 悦子  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (90298414)
山下 充  明治大学, 経営学部, 専任教授 (00318726)
駒川 智子  北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (50466439)
村尾 祐美子  東洋大学, 社会学部, 准教授 (20408959)
金井 郁  埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70511442)
酒井 計史  聖心女子大学, 現代教養学部, 非常勤講師 (00415358)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード労働 / ジェンダー / 雇用区分 / 総合職 / 勤務地限定正社員 / 転勤
研究実績の概要

小売業A社の従業員へのインタビュー調査および人事への追加インタビューを行い、以下のことが明らかになった。
第一に、A社は全従業員を無期雇用に統合したが、従業員の「意欲」はリーダー層への昇格、全国転勤やマネジメントを目指すこととなった。この「意欲」の解釈はジェンダー化され、女性の主体性抑圧につながっていった。
第二に、A社の自主性に任せた雇用管理は本人と上司の性別役割分業意識にもとづくジェンダーバイアスが表れやすく、男女のキャリア格差を生み出していた。
第三に、A社における転勤できる・できないと、仕事への志向性、役割の関連づけは、明確な理由はなく、従業員たちは転勤を仕方ないと思いつつ、スキルアップの機会とも考えていたが、人事は人員配置の必要性から転勤を行っていた。
また、年度末に、従業員300人以上で転居を伴う転勤のある企業に勤めているホワイトカラーの従業員に対してWEBモニター調査を実施し、総合職2073票、勤務地限定総合職422票の回答を得た。
勤務地限定正社員制度に関して、「育児や介護中の社員の退職防止に役にたつ」に対して、総合職男女、勤務地限定総合職男女とも8割前後がそう思う(「そう思う」+「どちらかといえばそう思う」の計、以下同様)と回答してそのメリットを認めていたが、「転勤があるかどうかで、昇進に制限がつくのは妥当だ」に対して、総合職男女とも約67%がそう思うと回答したが、勤務地限定総合職女性では約58%とやや低く、勤務地限定総合職の女性は総合職よりも昇進に制限を設けることには反対する傾向が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

懸案であった企業からの協力が得られ、従業員インタビュー調査を実施することができた。当初の計画どおり、企業ヒアリング調査、従業員インタビュー調査、総合職と勤務地検定総合職に対するWEBモニター調査等の当初の研究計画を実施できた。

今後の研究の推進方策

引き続き、さまざまな業種の企業へのヒアリング調査を実施し、雇用管理区分の見直しや廃止の現状、その理由と意義を明らかにする。また、企業調査の結果を踏まえ、労働者側から見た雇用管理区分の見直しや廃止の現状やその影響、転勤の現状と転勤に対する態度、総合職とエリア総合職の差異に対する認識と評価、間接差別の認識と評価等について、一般職の状況も把握しながら分析する。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 産業構造の変化と働き方2022

    • 著者名/発表者名
      山下充・小川慎一
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌

      巻: 743 ページ: 4-16

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 公務員の採用選考と性別情報――差別と闘うツールとしてのジェンダー統計2022

    • 著者名/発表者名
      村尾祐美子
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 764 ページ: 33-48

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本の職場における管理職の役割と女性-コロナ禍での変化と短時間管理職の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      金井郁
    • 雑誌名

      生活協同組合研究

      巻: 556 ページ: 32-39

  • [雑誌論文] 『女性活躍』から『ダイバーシティ推進』に向けた研修の取り組み――国土交通省北海道開発局の事例から2022

    • 著者名/発表者名
      駒川智子
    • 雑誌名

      北海道大学大学院教育学研究院紀要

      巻: 140 ページ: 81-96

  • [雑誌論文] 『男は仕事、女は家庭』という意識と仕組みの残像――雇用管理の課題と必要な理念2022

    • 著者名/発表者名
      駒川智子
    • 雑誌名

      労働調査

      巻: 622 ページ: 4-9

  • [雑誌論文] Remote Work and Job Satisfaction that Depends on Personality Traits: Evidence from Japan2022

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 雑誌名

      Japan Labor Issues

      巻: 6(37) ページ: 8-15

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 在宅勤務とワークライフバランス――コロナ禍における変化と課題2022

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 雑誌名

      家族社会学研究

      巻: 34(1) ページ: 50-57

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Changes in Work/Life Situations and Psychological Distress during the Prolonged COVID-19 Pandemic in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 雑誌名

      Japan Labor Issues

      巻: 6(39) ページ: 8-15

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ホワイトカラー労働における自宅でのICT作業の実態と課題――働く場所が柔軟化する中でのワーク・ライフ・バランス2021

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 752 ページ: 57-76

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Working from Home and Work-life Balance during COVID-19: The Latest Changes and Challenges in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 雑誌名

      Japan Labor Issues

      巻: 5(33) ページ: 21-33

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 小売業A社の雇用管理区分の統合と再複線化の背景―経営側の意図と労働者側の認識2022

    • 著者名/発表者名
      金井郁・篠田信幸
    • 学会等名
      社会政策学会
  • [学会発表] 正社員登用にみる「中核人材」の能力2022

    • 著者名/発表者名
      駒川智子
    • 学会等名
      社会政策学会
  • [学会発表] 転勤の有無による雇用管理区分は妥当なのか2022

    • 著者名/発表者名
      大槻奈巳
    • 学会等名
      社会政策学会
  • [学会発表] 今後のテレワーク-展望と留意点-2021

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 学会等名
      労働時間日本学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 在宅勤務とワークライフバランス-変化と課題-2021

    • 著者名/発表者名
      高見具広
    • 学会等名
      日本家族社会学会
    • 招待講演
  • [図書] CSR白書20212021

    • 著者名/発表者名
      東京財団政策研究所,斎藤悦子
    • 総ページ数
      253
    • 出版者
      東京財団政策研究所
    • ISBN
      9784860270155
  • [図書] ジェンダーで学ぶ生活経済論 第3版2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤純・斎藤悦子編
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623089529
  • [図書] コロナ禍における個人と企業の変容―働き方・生活・格差と支援策―2021

    • 著者名/発表者名
      樋口美雄/労働政策研究・研修機構[編],高見具広ほか24名
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      慶應義塾大学出版会
    • ISBN
      9784766427806

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公開日: 2024-12-25  

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