研究課題/領域番号 |
20H05629
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 隆一 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00397704)
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研究分担者 |
増田 一八 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70778357)
Weese Eric 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50777844)
近藤 絢子 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20551055)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
別所 俊一郎 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (90436741)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 教育政策 / 初等教育 / 中等教育 / 学校統廃合 / 説明責任 / 政府統計 / 行政データ |
研究実績の概要 |
本研究課題の交付を受けた2020 年8 月31 日から2021 年度末までは、6 つの研究テーマそれぞれの研究を遂行しつつ、それらの進捗状況、及び、研究成果を研究会等で共有しながら、全体の研究課題を推進した。初年度は、共同研究のための環境整備を進めつつ、個々の研究者・研究テーマに関する情報を個別打ち合わせ、及び、経済産業研究所で開催した研究会等で共有した。2021 年度も引き続き研究会を通じて各研究テーマの進捗状況を共有しつつ、それぞれの研究テーマの推進を行った。これまで、研究会を6回開催し、各回においては、研究分担者及び研究協力者との研究成果の報告に加えて、外部からの専門家を招聘し、本研究課題に対する有益なコメントを得ると同時に、本研究課題を推進する上で重要な最新の研究動向についての知見を得た。 初年度から研究体制の充実を図るべく、これまでのべ3名の特任研究員と1名の常勤リサーチアシスタントを雇用することで、各研究テーマを推進した。 全てのテーマにおいて、研究は進行中であるが、いくつかのテーマにおいては、すでに成果を上げている。これまでに得られた成果として、クラスサイズの縮小は学力を高める効果を持つことを自治体行政データを用いて明らかにした研究(田中2020)、クラスサイズの縮小が感染症による学級閉鎖の確率を引き下げることを明らかにした研究(Oikawa, Tanaka, Bessho, Noguchi, forthcoming)、中学生の問題行動は教員加配によって抑制できる可能性を示した研究(田中・両角, 2021)などがある。 学校の説明責任と学力格差の関係についてのこれまでの研究成果は2021年12月の韓日経済フォーラムにて招待講演として報告された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を構成する6つの研究テーマはそれぞれ進展しており、独自調査やヒアリングの実施等を含めて当初予定していたものの多くが実施されている。政府個票データの二次利用申請の一部は、新型コロナ感染症の蔓延により官公庁で在宅勤務が推進されている結果、二次利用申請の審査に時間を要しており、利用許可が出るまでに想定よりも長い時間がかかっているものもある。さらに、政府個票の二次利用の場所は既定の研究室等に限定されているため、在宅勤務が要請されていた時期には分析自体を進めることができない期間もあった。さらに、海外渡航や海外研究者の招聘といった事業は新型コロナ感染症の影響を受けた。それにより、政府個票や自治体データを用いた分析には若干の遅れが見られる。なお、今後の感染症や社会の状況次第ではあるが、これらの遅れは来年度以降に人員を補強することにより取り戻すことが想定されている。
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今後の研究の推進方策 |
各研究テーマの今後の研究実施計画は以下の通りである。① 最適な小中学校統廃合方法の検証:学校基本調査、国勢調査、及び、通学費用と学校統廃合に関する独自調査の結果を組み合わせることにより、日本全国の各学区における学校統廃合にかかる厚生費用を推計する。②学校の説明責任と裁量権強化の効果検証:貸与された全国学力テストの児童生徒個票データの分析を進め、すでに分析の大半が完了しているものについては論文執筆後に学術誌への投稿を行う。③ 学校内での相対学力が学力や問題行動に与える影響:学級内の相対的な社会経済状態が児童生徒のいじめ被害や欠席に対して与える効果の分析を国際比較可能な学力調査データを用いて継続して行う。④ 教育行政パネルデータを用いた子どものそだち分析:これまで行ってきた自治体の教育行政データを用いた分析を継続して進めると共に、さらに多くの自治体からの協力が得られるように働きかけを行う。⑤ 高校生の進路選択の動学分析:過去の合格判定や選好パラメターがその後の志望校選択や進路決定に与える影響の統計的分析をさらに進め、友人関係ネットワークの観点から、分析を精緻化する。⑥ 義務教育制度変更の長期的影響分析:一部追加的に政府個票の二次利用申請をおこなっているが、データの貸与を受け次第、追加的な分析を行う。
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