現存する三つの写本資料に基づいて、ディンスデールのヨハネスの『倫理学註解』第三巻の批判校訂版を完成させた。校訂版の作成にあたって、ヨハネスが参照した資料や同時代の『倫理学註解』との比較研究を行い、その成果を国内の研究会と海外の国際学会で発表し、ヨハネスの『倫理学註解』の特徴と重要性についての考察を深めた。ヨハネスやパリの学芸学部教師の註解で時折目立つ「モドゥス」というタームの理解を深めるために、トマス・アクィナスの多様な「モドゥス」の用法について考察し、成果を論文にまとめた。マレンボンによる中世哲学の入門書を訳出しながら、中世哲学の研究方法についても反省的考察を行った。
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