研究課題
今年度はコロナ禍のため予定していた国内外の出張がすべて取りやめになるなど、大幅な研究計画の変更が余儀なくされた。とはいえ、そのなかでも以下の成果を挙げることができた。①研究計画書に記したように、初年度はフランソワ・エヴァルド『福祉国家』の精読を主たる内容としていた。これについては着実に進めることができた。②ハンナ・アーレントおよびギュンター・アンダースに関しては、アーレントの責任概念に関する考察を『アーレント読本』にて公刊したほか、アーレントの戦争経験に関する論文を上梓した。また、アンダースの戦争責任論についての英語での論考を公刊した。さらに、日本アーレント研究会の大会・研究会等に継続的に参加し、最新の研究状況について情報交換をした。③レヴィナスについては、本研究課題に先立つ研究成果を単著としてまとめることができた。これについて関連研究者からの専門的知見を受け、本研究課題に生かしたい。なお、レヴィナスについては、さらに遠隔技術時代におけるその倫理思想の意義についての論文を上梓した。さらに、レヴィナス協会の大会・研究会等に継続的に参加し、最新の研究状況について情報交換をした。AI時代の倫理学的問題についてはさらに、ドローン(無人爆撃機)の使用の倫理学的問題についての小論を上梓したほか、介護分野へのAI活用における倫理的問題について「日本在宅医療連合学会」シンポジウムにおいて研究成果を発表した。
2: おおむね順調に進展している
上記のように、コロナ禍において国内外への出張の計画は実現できなかったが、その代わりに、関連資料の精読および研究成果の公表については予定以上の実現したため。
コロナ禍の状況にもよるが、とりわけ国外出張を利用しフランスにおける資料収集および専門的知見の交換の機会を持ちたいと考えている。これについては、すでにフランスの研究者とオンラインで複数回会合の場をもち予定を立てている。国内で遂行可能な文献精読や研究発表については予定通り行っていく。
2020年度はコロナ禍のため、予定していた国内外の出張がすべて取りやめとなった。それにより、出張によって購入を予定していた研究資料についても大幅に削減せざるをえなかった。これにより生じた次年度使用については、当初の予定通り出張旅費、研究資料の購入費に充当する。
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『現代思想』
巻: 49(1) ページ: 120-127
『境界を越えて : 比較文明学の現在』
巻: 21 ページ: 57-68
『福音と世界』
巻: 8 ページ: 12-17