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2022 年度 実施状況報告書

脱人間化社会における責任概念の再考:哲学・思想史・応用倫理の架橋的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20K00014
研究機関立教大学

研究代表者

渡名喜 庸哲  立教大学, 文学部, 准教授 (40633540)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードエマニュエル・レヴィナス / ハンナ・アーレント / フランソワ・エヴァルド / ギュンター・アンダース / 責任
研究実績の概要

本研究は、本研究は「脱人間化」社会における「責任」概念の変容を、1)社会思想史的アプローチとして、F・エヴァルドをもとに近代的社会制度の展開における「責任」概念の変容の検討、2)政治哲学的アプローチとして、全体主義体制および原爆投下をめぐるH ・アーレントとG・アンダースの思想の検討、3)現象学的アプローチとして、E・レヴィナスの現象学的哲学における「責任=応答可能性」 概念を実践的な文脈へと接続しうるかたちの検討、4)応用倫理的アプローチにより、AI開発における人間の行為の代替化に伴う「責任 」の変容の検討の四つの柱を設定してきた。
2022年度は、1)に関しては、エヴァルドの主著である『福祉国家』の翻訳作業を進めている。2)に関しては、研究分担者として参加している別の科研費研究課題と共同で、2023年3月に公開シンポジウム「テクノロジーは私たちを幸福にするか?アーレントと『スマートな悪』」を開催し司会を務めた。また、アーレントとコスモポリタニズムに関する論考を公刊した。3)および4)に関しては、まず2022年7月に、所属大学の助成を受けるかたちで、フランスにて国際シンポジウムを共催したが、そこで本研究の成果と言える口頭発表を行い、内外の専門家から多くの助言を受けた。また、2022年9月には日仏会館における国際シンポジウムにてレヴィナスとジャン=リュック・ナンシーの関係に関する口頭発表を行った。2022年12月には、レヴィナス協会と共催して、鳥取大学医学部脳神経小児科にて臨床に携わる佐々木満ちる氏をお招きした公開研究会を開催し、レヴィナスにおける「責任」概念がとりわけ障害児医療においてどのように適用されうるかを検討した。さらに、2022年9月公刊の『レヴィナス読本』では「レヴィナスと福祉」の項を担当し、本研究課題に関する研究成果を報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究主題のうち、一部に関しては当初想定していた以上に進展しており、研究成果も公表を進めている。
しかし、コロナ禍によって予定していた海外出張を取りやめざるをえず、研究資料調査の面では遅延しており、そのため研究期間の延長を申請した。

今後の研究の推進方策

2023年度が本研究の最終年度である。上記研究計画のうち、2)に関しては概ね順調に研究が進められており、とりわけ3)4)に関しては2023年7月に予定しているフランスでの国際シンポジウムにて成果を報告する予定である。その出張を利用して、研究資料調査を実施する予定である。
なお、1)のエヴァルド『福祉国家』の精読・翻訳作業については若干遅れているため、今年度はとりわけここに注力する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため予定していた海外出張を取りやめざるを得なかったため。2023年度はすでに7月に一度海外出張を予定しており、適正に執行する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (3件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] Catastrophe as a philosophical issue: Preface to Special Issue on “Philosophy of Catastrophe” of Tetsugaku. 62022

    • 著者名/発表者名
      Yotetsu TONAKI
    • 雑誌名

      Tetsugaku: International Journal of the Philosophical Association of Japan

      巻: 6 ページ: 6-21

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 災後のしなやかさ:レジリエンス批判2023

    • 著者名/発表者名
      渡名喜庸哲
    • 学会等名
      東京大学東アジア藝文書院シンポジウム「香港、福島、水俣、その思索的巡礼」
    • 招待講演
  • [学会発表] ナンシーとレヴィナス sensについて2022

    • 著者名/発表者名
      渡名喜庸哲
    • 学会等名
      際シンポジウム「ジャン=リュック・ナンシーの哲学──共同性、意味、世界」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] De l'"infime difference entre l'homme et le non-homme" chez Levinas2022

    • 著者名/発表者名
      Yotetsu TONAKI
    • 学会等名
      Colloque de Cerisy: Levinas et Merleau-Ponty, le corps et le monde
  • [図書] カタストロフか生か2023

    • 著者名/発表者名
      ジャン=ピエール・デュピュイ著、渡名喜庸哲訳
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750354972
  • [図書] ドイツ語圏のコスモポリタニズム2023

    • 著者名/発表者名
      菅 利恵
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      共和国
    • ISBN
      4907986041
  • [図書] レヴィナス読本2022

    • 著者名/発表者名
      レヴィナス協会、渡名喜 庸哲、藤岡 俊博、石井 雅巳、犬飼 智仁、小手川 正二郎、佐藤 香織、長坂 真澄、服部 敬弘、馬場 智一、平石 晃樹、平岡 紘、村上 暁子
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      法政大学出版局
    • ISBN
      9784588151286
  • [学会・シンポジウム開催] Colloque de Cerisy: Levinas et Merleau-Ponty, le corps et le monde2022

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公開日: 2023-12-25  

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