最終年度に実施した研究の成果は以下の通りである。 (1)2023年4月にディジョン大学教授J=P・ピエロン氏を招いての公開ワークショップを実施。ピエロン氏の講演原稿には解題を寄せ紀要に公刊した。6月にピエロン氏が主催するディジョン大学での国際シンポジウムに参加し、口頭発表を行った。(2)2023年9月に堀千晶氏の近著『ドゥルーズ 思考の生態学』をめぐる公開研究会を実施した。(3)2023年9月にレヴィナス協会研究大会シンポジウムにて「レヴィナスと政治」に関する報告を行った。(4)2023年10月に東京大学哲学会主催シンポジウム「パンデミックと哲学」に招聘され、本研究に関連する報告を行った。(5)2023年11月に立正大学哲学会主催シンポジウム「現代科学と〈他者〉への責任」に招聘され、本研究の総括となる報告を行った。(6)2023年12月にギュスタヴ・エッフェル大学教授C・ペリュション氏を招聘し公開ワークショップを二件実施した。(7)2024年3月3日にパリ大学教授J・ブノワ氏を招いての公開セミナー・講演会を実施した。(8)その他、本研究課題に関する内容としては、所属大学においてAI倫理の共同研究を進め、2024年3月にその成果を報告した。 研究期間全体としては、交付申請書に記した四つのアプローチのうち、アーレントおよびアンダースに関する政治哲学的アプローチに関しては『アーレント読本』への寄稿、紀要への論文投稿等により一定の成果を上げ、レヴィナスに関する現象学的アプローチについても『レヴィナス読本』への寄稿や学会発表等にて成果を上げた。応用哲学的アプローチについても、ドローン、AI等で介護等の知見を深め、いくつかの考察を発表することができた。社会思想史アプローチに関しては、中核となるフランソワ・エヴァルド 『福祉国家』の精読は進めたものの、翻訳の公刊にはいたっていない。
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