本研究は科学技術の発展や産業構造の変化に伴う現代社会における「責任」概念の変容に焦点を当てた。研究計画で掲げた四軸のうち、1)社会思想史的アプローチとして、F・エヴァルドにおける近代社会制度の展開における「責任」概念の変容については、その主著『福祉国家』の翻訳を進めた。2)政治哲学的アプローチとして、全体主義および原爆投下をめぐるH ・アーレントとG・アンダースの思想の検討、3)現象学的アプローチとして、E・レ ヴィナス哲学における「応答責任」 概念の実践的な文脈への接続、4)応用倫理的アプローチによるAI開発・利用における「責任 」の変容に関しては十分な成果を挙げることができた。
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