研究課題/領域番号 |
20K00025
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 一郎 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00230061)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 世界への愛 / ハイデガー / アーレント / ハイデガー事典 / 革命論 / 政治哲学 |
研究実績の概要 |
本研究の二年目にあたる令和3(2021)年度は、コロナ禍が続く中であったが、研究代表者森の研究計画はおおむね順調に進んだ。 まず、2006年に森らが中心になって創設された哲学研究の全国ネットワーク「ハイデガー・フォーラム」が、総力を結集して2016年から企画を始動させた『ハイデガー事典』が、2021年6月に昭和堂からついに刊行された。20世紀最大の哲学者の全貌を一冊に凝縮した600頁超の哲学事典である。森は、編集委員会代表の秋富克哉氏とともに、編集委員会の中核メンバーとして、この記念碑的事業を牽引してきた。また、2021年9月のハイデガー・フォーラム第16回大会では、平野啓一郎氏の招待講演「『存在と時間』と分人主義」があり、森はその司会を務めた。 2015年の『活動的生』邦訳刊行後の森のアーレント研究の中心課題は、アーレントの第二の政治哲学的主著『革命論』を、ドイツ語版から日本語に翻訳することであった。2022年4月、みすず書房からいよいよ刊行される。それとともに、アーレント『革命論』にもとづく「革命と憲法の哲学」を展開すべく着々と準備を進めてきており、その助走として、論文「コロナ禍から見えてきたこと――革命論序説」を、雑誌『ひらく』に載せた。また、2021年10月の東北哲学会では、「政治哲学の根本問題――アーレントから出発して」と題する大会シンポジウムのコーディネーターを務め、「革命とは何だろうか――アーレントと政治哲学の問題」と題して講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現代日本のハイデガー研究の水準を示す『ハイデガー事典』を、ハイデガー・フォーラムの精鋭メンバーを編集委員として刊行できたことは、2021年度の顕著な達成であった。 アーレントの第二の政治哲学的主著『革命論』を、足かけ7年の歳月をかけてドイツ語から翻訳出版するにあたり、2021年度は丸一年をかけて、訳稿再チェックから、訳注・索引作り、五度にわたる校正作業まで、入念に行なった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、アーレント『革命論』の4月刊行に続いて、この書にもとづく森自身の単著『アーレントと革命の哲学』を刊行予定である。 また、ニーチェの主著『ツァラトゥストラはこう言った』の文庫新訳を、今年度中に出版予定である。併せて、この書の網羅的に解説する単著の出版も準備中である。
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