「「世界への愛」をめぐる政治哲学的探究」の最終年度である2022年度は、実り豊かな一年であった。ハンナ・アーレントの第二の政治哲学的主著『革命論』を、ドイツ語版から初めて日本語に訳して、2022年4月18日、みすず書房から刊行した。また、この訳書を全体にわたって解説し、入念に解釈した単著『アーレントと革命の哲学 『革命論』を読む』を、2022年12月16日に、みすず書房から刊行した。さらに、アーレント『革命論』の読み筋を示した論文「革命とは何だろうか――アーレントと政治哲学の問題」を、東北哲学会編『東北哲学会年報』第38号、2022年5月22日、に掲載した。『革命論』刊行を記念して企画された佐伯啓思との対談「戦闘的思想家による「革命」志向の書 ハンナ・アーレント著『革命論』(みすず書房)新訳刊行を機に」は、『週刊読書人』2022年6月17日付、第3444号、の第1~3面に掲載された。2021年3月に刊行した単独編著『近代日本思想選 三木清』(ちくま学芸文庫)刊行の反響として、2022年6月22日には、兵庫県たつの市霞城館で開かれた三木清研究会に招かれ、公開講演「活動的哲学者の軌跡――『近代日本思想選 三木清』を読む」を行なった。2022年7月25日には、東北大学日本学国際共同大学院第5回有識者特別講義「評議会制と革命精神――宮城県美術館現地存続運動から学んだこと」を、東北大学文学部で行なった。ハンナ・アーレントにもとづく革命の哲学を提唱する森の研究プロジェクトがひとまずの達成を迎える最終年度となった。
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