信念の合理性の阻却要因となるものはどのようなものなのか、そしてそれらがどのように信念の合理性を阻却するのかという点には、部分的な見解がさまざまに提示されてきたものの、統一的な説明は与えられてこなかった。本研究は、一部の阻却要因候補に新しい分析を与えるとともに、それらの統一的な説明を与えるという点で理論的な意義のあるものだと考えられる。また、この説明は、現実社会で問題となる見解の対立(特にインターネット上でのフェイクニュースの拡散や差別的行動)がなぜ生じ、しかも用意に解消可能ではないのかという点を(少なくとも部分的に)説明可能であるという応用的な意義も有していると考える。
|