研究課題
今年度前半の研究会では、チャン・デュク・タオの『現象学と弁証法的唯物論』を検討した。フッサール現象学を徹底的に経験的ないし自然主義的に解釈しようと試みる同書が当時のフランスにおける現象学受容において果たした役割について理解を深めた。年度後半には、ジャン=フランソワ・リオタールの『言説、形象』を取り上げ、構造主義と現象学の関係について議論した。また、それに関連して、フランス・エピステモロジー研究者の中村大介氏を招いて講演会を開催し、エピステモロジーと現象学の関係について検討した。さらに、国立情報学研究所と共催でデジタル・ヒューマニティーズをテーマとするワークショップを開催し、思想史研究の方法論、及び思想史研究と情報科学の可能性をめぐって学際的ディスカッションを行う機会を得た。それによって本研究の方法を改めて問い直すとともに、情報科学の視点を交えて文献研究の意義と限界について有益な知見を得ることができた。年度末には本年度及び研究期間全体の研究成果をメンバー各自が報告する成果報告会を2回にわたって開催し、メルロ=ポンティ、レヴィナス、ジャン・ヴァール、ジェラール・グラネル、アルフォンス・ド・ヴァーレンス、ジョルジュ・ギュルヴィッチといった多様な論者の現象学理解について学術的知見を共有するとともに、外部からの参加者も交えて意見交換を行った。以上の研究成果を論集として出版すべく、目下準備を進めている。
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ミシェル・アンリ研究
巻: 12 ページ: 41~51
10.20678/henrykenkyu.12.0_41