研究課題/領域番号 |
20K00045
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
森 芳周 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (70367928)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 死亡胎児 / 中絶 / 死産 / TRAP法 |
研究実績の概要 |
2023年度当初は、死亡胎児の研究利用に関して他機関の研究グループに参加し研究動向についての知見を得ること、スイス連邦政府報告書の検討を計画していた。これらの計画は予定どおり実施することができた。さらにアメリカにおける死亡胎児の処分についての議論の調査も行った。以下に、2023年度の研究実績の概要を記す。 (1)前年度から引き続き、他機関が主体となっている研究グループに参加し、諸外国における胎児組織の提供、収集、保存、分配のあり方についての知見を得た。この研究の一環として、スイス・ローザンヌ大学の研究者から胎児組織の収集・利用方法、倫理的問題、市民からの反応などの聞き取りをオンラインで実施し、その成果を研究会で報告した。 (2)前年度準備をしていた、2017年発行のスイス連邦政府報告書「流産児の身分登録手続きの改善」の内容の検討を実施し、論文を執筆した。この中で、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツが2000年に入ってから法律や規則の改正を行い、一定の週数や体重を超えた死産児には親の希望により命名などを認めていることが判明した。また、欧州人権裁判所において死産児の取り扱いが訴訟となっていることもわかった。 (3)アメリカでいわゆるTRAP法(中絶そのものを禁止するのではなく、中絶提供者を標的として中絶規制を行い、実質的に女性が中絶を受けることを制限しようとする法律)がいくつかの州で制定されており、その一つとして、中絶胎児の埋葬又は火葬を医療機関に義務づけるインディアナ州法を検討し、論文を執筆、投稿した。中絶胎児の埋葬又は火葬を義務づける州法は、インディアナ州だけではないため、アメリカ各州の関連法令の調査をさらに進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で申請当初の計画から変更したが、変更後の計画としていたスイス国内の法令の調査、死亡胎児の研究利用に関するスイスの研究者からの聞き取り、英語圏の死亡胎児の埋葬、命名に関する法令の調査を順調に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度実施した調査をさらに進めるとともに、亡くなった胎児の倫理的な処分のあり方に関して日本国内やアジア諸国における死亡胎児の供養や女性のケアの観点からの研究を実施する。 まず、スイス連邦政府報告書についての論文をもう1本発表するために、関連文献を入手し読み進め、年度内に論文を執筆する。次に、アメリカにおけるTRAP法のうち中絶胎児の埋火葬を義務づける州法が制定されている州を調査しその内容を明らかにする。関連する文献もデータベースでリストアップして読み進める。日本及びアジア諸国における死亡胎児の供養や、流産、死産に対するケアのあり方については、関係者からの聞き取りや、研究者からの報告のための研究会を実施することにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金については2023年度の計画では聞き取り調査の実施にあたって支出する予定であったが、聞き取り調査は実施したものの謝金は不要になったため使用しなかった。また、物品費及び旅費については、調査や学会・研究会参加がオンラインで可能となったために旅費が不要になり、それにともなって準備に必要な物品費も不要になった。 2024年度は研究グループを組織し、定期的に研究会を実施する。その報告者に対して謝金を支出する予定である。また、2024年度は国内研究期間にあたっており授業が免除され、研究に時間を割けるため、国会図書館等での文献調査を予定しており、それに旅費を支出する。物品費については、研究最終年度として研究成果の取りまとめを行うために必要な文献の購入などにあてる。
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