研究実績の概要 |
2022年度は、過去2年間の研究活動を総合し、出来事と実在性に関する現象学的研究の最終的な成果を具体的な形にして取りまとめる予定であった。2020年から続く新型コロナウイルス感染症の影響もあり、最終的な成果を取りまとめるには至らなかったが、2022年秋以降は予定していた日仏の共同研究も対面で再開することが可能となった。2022年度の具体的な研究実績としては主に以下のものが挙げられる。 (1)川瀬雅也・米虫正巳・村松正隆・伊原木大祐編『ミシェル・アンリ読本』、法政大学出版局、2022年9月。 (2)Masami Komemushi, "Immanence (im)possible. Michel Henry ou Jacques Derrida ?", Colloque international "La pensee de Michel Henry", Universite Paris Nanterre, Sorbonne Universite, novembre, 2022. (3)米虫正巳「フランスで出会ったフィヒテとスピノザ」、日本フィヒテ協会大会第38回大会シンポジウム、於同志社大学&オンライン開催、2022年11月。 (1)は2022年に生誕100年を迎えたフランスの現象学者ミシェル・アンリの哲学の全体像を描き出そうとしたもの。全体の編集に携わると共に、3つの論考を執筆し、アンリ哲学の輪郭や独自性を他の3つの哲学との比較から浮き彫りにした。(2)はミシェル・アンリの哲学をめぐってパリ・ナンテール大学およびソルボンヌ大学で開催されたシンポジウムでの招待講演。アンリ哲学の中心概念である「内在」の可能性と不可能性を「出来事」という観点から検証した。(3)は日本フィヒテ協会のシンポジウム発表。フランス哲学の中でのフィヒテ知識学の位置をスピノザとの関係を通して明らかにした。
|