研究課題/領域番号 |
20K00073
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
谷口 智子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00363911)
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研究分担者 |
木村 武史 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00294611)
岩崎 賢 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (50587269)
笹尾 典代 恵泉女学園大学, 人文学部, 教授 (60308294)
山本 暢 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (20815203)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 先住民宗教 / 神話 / 儀礼 / クリー族 / ラコタ族 / カヤポ族 / アステカ族 / 供犠 |
研究実績の概要 |
2020-21年度については新型コロナウィルスの関係で、渡航が難しく、研究代表者及び分担者はそれぞれ国内での文献探索や文献調査など、予備的調査を行うのみにとどまった。2022年度にカナダやアメリカ、メキシコへの渡航が可能になれば、海外調査を行う予定であるが、厳しい場合は、文献研究やオンラインでのインタビューなど予備的研究に止まらざるを得ない。2021年度の研究実績としては、5月に一回、オンラインで研究会を開き、互いの研究進捗状況について報告しあった。そこでは、研究分担者の木村と笹尾、岩崎、谷口がそれぞれ、自分が行っている研究について発表した。 研究分担者の木村は、「『ジャガーの炎』とテレンス・S・ターナー」について発表した。笹尾は、「災禍の非常時下での儀礼(祭礼)~循環的世界への回帰定点となる儀礼~」について発表した。岩崎は、「粘菌的存在論ー南方熊楠の供犠論ー」について発表し、谷口は「共感と浄化の儀礼としてのスウェットロッジ」について発表した。また、木村と谷口は北米と南米のネイティブアメリカンの神話についてそれぞれ、第80回日本宗教学会(2021年9月6-8日、関西大学)でパネル発表した。(谷口智子「征服のトラウマとしてのインカリ神話と民衆劇」/木村武史「北米先住民神話にみる性愛と暴力」)。また、同テーマで2022年3月に発刊された木村武史編著『性愛と暴力の神話学』晶文社にて、木村と谷口の2名は論文を上梓している(谷口論文については297-358ページ、木村論文については329-360ページ)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学術研究として当初予期していないことが起こるのは仕方がない。新型コロナウィルスの世界的蔓延により、当初年度からカナダ、アメリカ、メキシコに海外調査することが 困難になり、その状況は現在も続いている。結果的に国内で予備調査(文献探索や調査)をしたり、過去の調査をまとめ、研究会や学会などで報告するにとどまった。しかし、研究方法を文献調査やインタービュー調査にシフトすることで、論文や学会発表そのものは十分に発表できた。 2021年度の研究の進捗状況については以下の通り。5月に一度オンラインで研究会を開き、互いの研究進捗状況について報告しあった。研究分担者の木村、笹尾はそれぞれ、「災禍の非常時下での儀礼(祭礼)~循環的世界への回帰定点となる儀礼~」「『ジャガーの炎』とテレンス・S・ターナー」、岩崎は、「粘菌的存在論ー南方熊楠の供犠論ー」について発表し、谷口は「共感と浄化の儀礼としてのスウェットロッジ」について当該科研研究会にて報告した。また、木村と谷口は北米と南米のネイティブアメリカンの神話についてそれぞれ『性愛と暴力の神話学』(晶文社、2022年3月)にて論文を上梓し、同内容について、第80回日本宗教学会(2021年9月6-8日)にて谷口と木村はパネル発表を行った(谷口智子「ラテンアメリカにおけるエロスと暴力―征服のトラウマとしてのインカリ神話と民衆劇―」/木村武史「ヴァギナ・デンタータとココペリ――豊穣・幸福と恐怖・病・暴力―」)。また、同テーマで2022年3月に発刊された木村武史編著『性愛と暴力の神話学』晶文社にて、木村と谷口の2名は論文を上梓している(谷口論文については297-358ページ、木村論文については329-360ページ)。
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今後の研究の推進方策 |
早急に新型コロナウィルスの世界的蔓延が収まったら、ワクチン証明書によって海外調査に出られるよう準備する。先住民の儀礼そのものがコミュニティの内輪で縮小し、あるいは行わないでいる現状を鑑みると、早期復活を望むが、その保証はない。したがってアプローチを変えて、文献研究にシフトしながら、 オンラインを使った儀礼執行者や神話の語り手などのインタビューなどを行って、現在、研究を補完していっている。 木村は北米や南米の先住民族の神話について文献調査を引き続き継続している。谷口は、従来の先行研究をまとめ、スウェットロッジについて刑務所などで行われ、先住民や非先住民の更生にどれだけ先住民儀礼が寄与しているかの研究をまとめた(谷口智子、「共感と浄化の儀礼としてのスウェットロッジ」、愛知県立大学国際文化研究科紀要第23号、125-144ページ)。今後も北米、中南米先住民の儀礼について、比較研究を続ける。岩崎はメソアメリカの研究課題の文献調査を引き続き行う予定である。笹尾についてはやはり渡航できなかったため、日本国内の危機儀礼について、主に福島県南相馬市の馬追神事について研究している。スザンヌ・ホフマンが『災害と儀礼』で書いているように、災害時に行われる危機儀礼に注目し研究している。馬追神事は3.11後でもコロナ下でも行われているとのことであリ、儀礼がどのようにコミュニティの困難時に行われて結束されるかについて、インタビュー調査などを通して研究を行っている。木村は、「『ジャガーの炎』とテレンス・S・ターナー」というタイトルで論文を寄稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19のおかげで、海外渡航が全くできず、調査ができなかった。従って、物品とその他しか、使用していない。物品内容は、研究代表者、分担者とも、書籍購入やパソコン購入などに充てられている。次年度には、一部の者だけでも渡航し、調査を再開する予定である。日本国内での計画は、引き続き、文献調査やアンケート、インタビュー調査などである。今後はそれらも引き続き行いながら、渡航調査に安全に渡航できるタイミングで渡航し、調査研究を引き続き行う予定である。また、研究代表者の谷口智子は昨年度、大腸癌を患い、3度手術したことから、次年度はバイアウト制により、当該科研費にて非常勤講師を雇い、この研究に関係する講義「ラテンアメリカの歴史と文化」の代講を依頼している(2022年前期)。愛知県立大学外国語学部教授会で、バイアウト制を使用する旨、承認された。
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