研究実績の概要 |
本年度は2021年実施のウェッブ調査「コロナ禍における英国ムスリムの宗教実践」のミクロデータの実証分析を続けた(小島/Kojima 2023a, b, d, e, 2024 c, d, h)。この調査では一部の宗教関連変数、健康関連変数について3時点の情報を尋ねているので、因果関係が推定できる。宗教関連要因変化の健康変化に対する関連についてロジット分析をしたところ、一時点の宗教関連変数の健康に対する関連を分析した結果と異なる結果が得られた(2024c, h)。 肉体的健康については、信仰心強化が特に女性で初期の悪化に対して正の効果をもつ傾向、喜捨水準向上が改善に正の効果をもつ傾向、ボランティア活動増加が男性で初期の悪化に対して正の効果をもつ傾向、モスク礼拝減少が特に後期の改善に対して正の効果をもつ傾向、自宅礼拝減少が特に初期の改善に正の効果をもつ傾向、ハラール食購入減少が特に男性の悪化に正の効果をもつ傾向、ラマダン中の断食減少が特に後期で男性の改善に正の効果をもつ傾向が示された。精神的健康については、信仰心強化の効果が見られず、喜捨水準向上が特に女性で後期の悪化に正の関連をもつ傾向、ボランティア活動増加が男性で後期の不変に対して正の効果をもつ傾向、モスク礼拝減少が男性で後期の不変に対して負の関連をもつ傾向、自宅礼拝減少が特に男性で初期の悪化に正の関連をもつ傾向が示された。 他方、英国ムスリムでの世帯内感染有無、接種有無、検査有無の相互関連が不可解であったことから、東大社研の2023 年度参加者公募型二次分析研究会に参加し、「在留外国人総合調査」(2023年)のミクロデータにより、日本の在留外国人のコロナ関連変数の政策関連要因とコロナ関連変数(予防接種回数、濃厚接触経験、感染経験)間の相互関連の分析を行った(小島/Kojima 2023c, 2024a, b, e, f, g)。
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