研究課題/領域番号 |
20K00130
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
岡田 恵美 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 准教授 (60584216)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インド北東部 / ナガ / ポリフォニー / 民謡 / マイノリティ / 山岳民族 |
研究実績の概要 |
今年度は、ミャンマーと国境を接するインド北東部ナガランド州とマニプル州北部を中心に、モンゴロイド系山岳民族ナガの歌唱文化について、その音楽構造や社会文化的脈絡やナガ社会における歌の機能と協働性について、現地調査を通して研究を推進させたいと考えていた。しかしながら、今年度も新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、インドへの渡航や現地調査ができない状況にあった。そこで、ナガランド州南部に居住するチャケサン・ナガのポリフォニー様式の民謡「リ」に関しては、現地の民族音楽学者と共同してオンライン会議を重ねながら、現地での撮影等の調査を実施してもらった。 また、ナガの歌唱文化に関する研究成果は,9月に開催されたINDAS主催の南アジアセミナーでの公開講義や、2月に企画した「伝統ポリフォニーの諸相」と題した民族藝術学会での公開研究会等、4件の研究発表を行った他、藝術文化雑誌『紫明』等、雑誌等記事において本研究に関連する報告を4件行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、インドへの渡航と現地調査ができない状況にあったが、インド北東部ナガランド州における歌唱文化研究については、現地研究者と共同してながら議論を重ねたことや、現地研究者によって撮影等の調査を実施してもらえたことによって、昨年度よりは、研究を前進させることができた。 その一方で、マニプル州での歌唱文化に関する調査は未だ実施できておらず、渡航が可能になり次第、推進していく。 研究の発信に関しては、発表・報告の機会を多くもつことができた。
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今後の研究の推進方策 |
インド北東部ナガランド州とマニプル州北部において、今年度こそは民謡の実践や教習・伝承の場の録音・撮影を現地調査の中で実施し、ナガの民謡におけるポリフォニックな音楽構造の分析や、ナガの農村社会で伝承されている歌の機能と彼らの協働性について、音楽的側面と社会文化的側面の両面から解明する。 さらに、現地調査を重ねることで映像音響資料を蓄積し、今年度の研究成果は学会誌への投稿論文としてまとめる。また、ポリフォニー民謡「リ」に関する研究成果は,歌唱楽譜・解説書として現地で出版し,現地の教育研究機関等へ無料配布を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,新型コロナウイルス感染症の拡大によって,当初予定していたインド北東部ナガランド州やマニプール州での現地調査ができない状況にあった。それによって、当初予定していた旅費にあたる経費が残額となった。これについては次年度の旅費に充填する。
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