研究課題
本研究の研究目的は、①実験的音楽活動の国内外の実態調査、②実験的音楽活動で使用される音楽の特性解明、③実験的音楽活動のエビデンスに基づいた効果の検討、④実験的音楽活動の福祉領域的意義の検討、⑤実験的音楽活動の普及に有効なプログラム開発、であった。最終年度は、②実験的音楽活動で使用される音楽の特性解明について、従来的音楽活動との比較を行い、OSEconference2023(ヨーロッパ作業科学学会、デンマーク;オーデンセ)で発表した。また、④、⑤の研究成果の一環として、毎月実施した音楽活動のドキュメンタリー映画を制作し、日本音楽即興学会第15回大会にて上映と研究発表を行った。さらに、③、④を目的に、研究分担者の田島と共に、実験的音楽活動の参加者、リーダーを務めるミュージシャン、サブリーダーを務める作業療法士への個別的・半構造化インタビュー調査を実施し、その音声データをSCAT(Step for Coding and Theorization)により分析した。考察では、インタビュー調査の結果による効果判定のほか、そこから導き出された福祉領域的意義と課題について検討した。その結果は8th Asia Pacific Occupational Therapy Congress 2024 (APOTC 2024)で発表が決定している。また、音楽、健康、社会変革を議論する国際学術誌"VOICES"に論文を投稿予定である。研究期間全体を通した研究成果として、実験音楽は従来の音楽活動の親和的同化的音楽ではなく、非親和的異化的な音楽であるという特徴を有していることが確認された。それは参加の障壁の課題とも考えられたが、それ以上に、型にはまらない多様な自由な表現活動は、参加者を自己規定から解放し、自己肯定感を高めるという変化が確認された。プログラム開発も文字化、映像化することができた。
すべて 2024 2023
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)