研究課題/領域番号 |
20K00394
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
吉野 由利 学習院大学, 文学部, 教授 (70377050)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | イギリス文学 / アイルランド文学 / ジェイン・オースティン / 正典形成 / 文学の受容 |
研究実績の概要 |
Covid-19の影響で予定していた海外資料調査やウプサラ大学Emma Clery教授との意見交換は次年度に延期することになったが、国内で入手可能な資料や、英国ロマン派協会等関連学会のオンライン研究集会等に出席し、可能な範囲で最新の研究動向を把握した。また、予定通り歴史的背景の再確認を、女性の権利問題やジェンダー編成に関連する文脈を中心に行った。19世紀の伝記的テクスト(Frances Anne Edgeworth, A Memoir of Maria Edgeworth (1867), James Edward Austen-Leigh, A Memoir of Jane Austen (1869))を含む)の再読も行った。エッジワースとオースティンの著作活動(authorship)と作品受容を多角的に捉えるべく、両作家の肖像画の基本情報の確認と、EdgeworthstownとChawton等の「作家の家」を聖地とする文学巡礼・観光の事例分析を行った。成果の一部は、欧州ロマン派協会連合の国際共同プロジェクトのオンライン展示 "Romantic Europe: The Virtual Exhibition"(http://www.euromanticism.org/project-reve/)所収の学術記事として発表した。同プロジェクトは、Covid-19の影響で、学校・大学、美術館等の教育・文化機関が閉鎖した期間に制限された学校教育や市民の文化体験を補うものとして、国際的に注目されている。オクスフォード大学とコーク大学が提携して開始したエッジワース文書コレクションのデジタル化プロジェクトDigital Edgeworth Networkの国際アドバイザーとして招聘され、企画会議、ワークショップを通しても最新の研究情報に触れることができた。Austen受容論も1編刊行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Covid-19の影響で年度中に予定していた海外資料調査やEmma Clery教授との意見交換は次年度以降に延期することになったが、国内で入手可能な資料や、英国ロマン派協会等の関連学会のオンライン研究集会等やDigital Edgeworth Networkの企画会議、ワークショップを通して、一定度補うことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
海外資料調査は、今年度中にCovid-19の感染が収束し実施可能になった場合は、2022年3月実施を目標とし調整する。それまでは、引き続き国内で入手可能な資料やオンライン学会・研究会を活用する。また、同年2月下旬に延期されたClery教授の来日が年度中に実現しない場合は、オンラインでの意見交換に変更する。今年度の研究対象は、19世紀の北米、フランスにおける受容の事例とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19感染の影響で国内外の出張ができなかったため関連する予算を繰越した。国内外の出張が可能な状況になったら、執行予定である。まとまった調査日数を必要とする海外出張については、2022年3月実施を目標とする。
|