「侵略ナラティブ」という概念を明確化し、歴史的に位置づけることで、20世紀の主流作家に与えた侵略ナラティブの深い影響力を解明した。扱った作家はフランク・ノリスやジャック・ロンドンなどの自然主義の作家を始めとし、ヘンリー・ジェイムズやイーディス・ウォートンなどのリアリズム作家、アーネスト・ヘミングウェイなどのモダニズム作家である。これらの作品を侵略ナラティブという概念を通じて見ることで、帝国主義的侵略と領土の侵害に関する恐怖や不安がこの時代の文学的想像力を根底から形作っていたことを明らかにした。世紀転換期における地政学的な力と文化的生産物との相互作用を理解する上で大きな貢献をしたと考えられる。
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