研究課題/領域番号 |
20K00549
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
金 智賢 宮崎大学, 多言語多文化教育研究センター, 准教授 (40612388)
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研究分担者 |
小熊 猛 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (60311015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 名詞句 / 韓国語 / 日本語 / 意味論 / 語用論 |
研究実績の概要 |
本研究は、現代日本語と韓国語の名詞句の特徴を、意味論的・語用論的な対照分析によって解明しようとするものである。名詞句は、その内部意味構造ならびにそれが生じる文中における意味機能という二つの観点から考察される必要がある。本研究では、前者として多様な名詞句構造(「名詞/節/数量詞/副詞/φなど+名詞」)を取り上げ、後者として名詞句が単独でまたは述語として用いられる発話文に着目し、日韓両言語の類似点と相違点を総合的かつ体系的に記述することを目的とする。本研究では日本語と韓国語の多様な言語場面から集められた実例、大規模自然言語コーパスなどを対象に、量的かつ質的な分析を行い、それぞれの言語において、どのような事態が名詞句で表され易いのか、あるいは表され難いのか、また、名詞句で表される事態が日韓でどう質的に違うかといった意味的側面に迫る。 初年度の2020年は、当初の計画では「名詞+名詞」構造(韓国語では「名詞{uy/φ/in/用言の連体形/その他の表現}+名詞」として表現される)を取り上げる予定だった。具体的には、①N1と関係Rを有するN2、②項N1と行為名詞句N2、③行為名詞N1と項N2である。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大によって研究にも支障が生じており、計画通りの研究発表はできず、各テーマに関する資料収集のみ行っている。そんな中でも、論文「「AはBだ」から「BのA」へ―いわゆる属格助詞の日韓対照を兼ねて―」(『朝鮮学報』255)をまとめているが、この研究は、上記の課題①に関する一般的な意味論的制約と連体形式の関係について考察しているもので、その分析を②や③に拡大するとともに関連データの収集を急いでいる。「動作性名詞述語文の日韓対照研究」(日本言語学会第161回大会)では動作性名詞の分析を進めることで、②と③に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年は、初年度につき、言語データ収集及び、「名詞+名詞」構造(韓国語では「名詞{uy/φ/in/用言の連体形/その他の表現}+名詞」として表現される①N1と関係Rを有するN2、②項N1と行為名詞句N2、③行為名詞N1と項N2)を取り上げ、発表する予定だったが、①を除いては発表の機会がなかった。これらのテーマに関する言語データの収集は、コーパスや実生活の中において随時行ってきており、同時に意味論や語用論の理論的な先行研究を踏まえた分析も進めていることから、全体的にはやや遅れていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
言語データ収集の継続とともに、「名詞+名詞」構造の①~③の各テーマをまとめ、やや遅れているスケジュールを徐々に軌道に乗せることに努めたい。2021年度は、「数量詞/副詞+名詞」構造(①数量詞+名詞、②副詞+名詞)及び「節+名詞」構造(①節(主語有無)+名詞、②節+形式名詞)の分析を進める計画だったが、「名詞+名詞」構造や「数量詞/副詞+名詞」構造の名詞句をまとめることを目指し、分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大で当初計画していた国内外での研究発表または資料収集のための出張が中止またはオンライン等になり、旅費が殆ど使えなかったことから次年度使用額が生じた。次年度も学会等がオンライン等になる可能性はあるが、年度の早いうちから研究計画を見直し、柔軟に対応できるようにしたい。
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