研究課題/領域番号 |
20K00556
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
梶 茂樹 京都産業大学, 総合学術研究所, 科研費研究員 (10134751)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Kiga語 / Ankore語 / 語彙集 |
研究実績の概要 |
ウガンダ西部に話されるNyoro語、Tooro語、Ankore語、Kiga語のうち唯一調査の終わっていなかったKiga語を集中的に調査し、その語彙集を完成させた。Kiga 語にも辞書・語彙集はあるが、それはKiga 語の北に話されるAnkore語との共通辞書・語彙集で、Ankore語をベースに編まれている。本語彙集はKiga 語のみを扱った唯一のものである。Kiga 語とAnkore語は似てはいるが同じではない。例えば「頭」は共通正書法でomutweと書き、Ankore語の発音はほぼ正書法通りの [omu{twe] であるが Kiga 語では[omu{tkwe] である。また「犬」は共通正書法でembwaと書き Ankore語では [e{mbwa] と発音するが Kiga 語では [e{mga] となる。Kiga 語ではいずれも半母音wによる先行子音の軟口蓋化が行われ、場合によっては発音は正書法から大きく乖離する。しかしこういったことは共通正書法には反映されない。既存のAnkore=Kiga語辞書・語彙集はKiga 語の特徴を無視するか、単に変異として扱うのみでKiga語に正面から向き合っていない。この語彙集により、Kiga語とAnkore語には単に分節音のみならず、声調面でも違いがあることが明らかになった。Ankore語の声調パターンはn+1(nは語幹の音節数)であるが、Kiga 語はn+1+αである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスによる旅行制限が解除されたため、現地調査が可能となりインフォーマント調査がを十分行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
Kiga語の動詞活用、特にその声調の働きを現地調査により精査すると同時に、まとめとしてNyoro語、Tooro語、Ankore語、Kiga語の声調の歴史的展開について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
刊行したA Rukiga Vocabularyを今年度・次年度の予算を使用して関連研究者に送付する予定である。
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