研究課題/領域番号 |
20K00559
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
平 英司 関西学院大学, 手話言語研究センター, 客員研究員 (10837404)
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研究分担者 |
森本 郁代 関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | バイモーダル / 日本手話 / バイリンガル / 指さし / 身振り / 言語発達 |
研究実績の概要 |
これまで、バイモーダル児のコミュニケーションの獲得の状況や質的変化について分析を行ってきた。そして、手話に影響された指さしの質の変化や音声及び手話や身体でのコミュニケーションの獲得について、その特徴を捉えることができた。 具体的には、音声言語の語彙爆発と同様に手話についても、語彙爆発が起きていると思われる状況が観察されたり、手話の過剰般化と思われる現象も捉えることができた。 質的には、手話語彙が増え始めた段階で、その後、手話ではない身振りでのコミュニケーションが増加することも観察された。これは、認知的な発達に伴い、手話語彙を知らなくとも、何か話したいことが生じた際には、身振りを用いて視覚的なコミュニケーションを行うことを選択するようになったとも考えられる。指さしにおいても、複数の指差しを用いてコミュニケーションを図ったり、その場にないものを指差しでその指示する事物の意味を象徴するなどの様子も観察された。 音声言語のバイリンガル同様、バイモーダル児は音声言語と手話言語という2つの言語を組み合わせてコミュニケーションをすることもあり、単に片方の言語の獲得過程をその言語のモノリンガルと比較するだけでは、見えてこないことも多く、今後もさらなる分析をすすめていく。 また、2023年度はこれまでの成果を公開で研究発表するという形で社会還元するに至った(関西学院大学手話言語研究センター、研究成果報告会)。さらに、2024年度に向けて、引き続き研究を継続するとともに、これまでの成果をまとめ、論文や研究発表として報告する準備も行えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
元来、日本手話でろう児を育てる家庭が少ない中、聞こえるきょうだいをもち、なおかつ、その子が言語獲得期にあるというケースは稀である。 その状況に加えて、収束してきたが、コロナ禍の影響で家庭に訪問し新たなデータ収集を行うことが難しく、既存のデータの分析が中心となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナが収束したこともあり、2024年度は既存データの対象となった子どもが、現在成長した中でどのようなコミュニケーションを家庭でとっているのかを収録、分析することを目指す。また、家庭での親の言語選択(手話・日本語)について、アンケート調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍でバイモーダル家庭への訪問(ろう児を手話で育てる家庭は日本では東京に多く、関西近郊ではまだ少ない)の機会がなく、学会等もオンライン化しており、次年度使用額が生じてしまった。 2024年度は、家庭へのインタビューやデータ収集、学会発表等に使用する。
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