研究課題/領域番号 |
20K00607
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
水野 かほる 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (90262922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 司法通訳 / 法廷通訳 / 通訳の正確性 / 通訳人の負担 |
研究実績の概要 |
本研究では、まず現在実際に法廷通訳に関わる参与者が通訳の役割をどのように認識しているかを明らかにすることを目指す。そして、より正確で等価な法廷通訳を可能にするためには、参与者各自がどのような姿勢で通訳の場に臨みどのような言語行動をとることが目標につながるかを調査検討し、具体的な言語表現例を含んだ指針を提供することを目的とする。 しかしながら、COVID-19による感染拡大の影響から実験調査の実施は難しく、令和3年度は、オンライン等で実行可能な範囲での調査研究を実施した。一つは司法通訳人に対するインタビュー調査である。2020年以来、コロナ禍による対面的な通訳機会の激減で通訳翻訳業は大きく変化し、司法通訳を取り巻く状況は変わった。そのため、次に実施予定の法廷通訳人に対する調査の予備調査を兼ねたインタビュー調査を行った。本調査の結果は紀要に報告し公開した。二つ目は、筆者を含む静岡県立大学の研究会が、法廷通訳人の感じる負担を明らかにし、通訳人の環境改善に向けた提案をすることを目的に2012年・2017年に法廷通訳経験者を対象に実施した調査の継続調査である。2022年2・3月にコロナ後の司法通訳業をめぐる実態に関する質問項目を含んだ第1回調査実施から10年後の調査を行った。現在その結果の集計・分析を行っている途中であるが、法廷通訳人の感じる負担は以前とあまり変化が見られないようである。加えて、今後より詳細な状況を把握するため、本調査の被検者を対象としたさらなる調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による感染拡大を最大要因として、予定していた実験調査はできなかった。 令和3年度は、司法通訳人に対するオンラインでのインタビュー調査を行い、その結果等をまとめ紀要で報告した。また、年度末に2022年法廷通訳人アンケート調査を実施し、現在その結果の集計分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた法廷通訳人や法曹三者の通訳実態と通訳に対する認識を把握するための実験調査の実施は、COVID-19感染拡大の影響もあり、現在も難しい状況である。しかし、法廷通訳経験者に対するアンケート調査の継続、及びその後の回答者に対するグループ・インタビュー調査等を実施することにより、切り口を変えた実態把握の方法を検討し実行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大の影響等による研究の遅れが大きな理由である。 今後、2022年法廷通訳人に対する調査の集計分析及び法廷通訳人を対象とするグループ・インタビュー調査等を実施する予定であり、集計作業及びインタビューデータの書き起こし作業等のアルバイト作業に対する賃金や、回答者へのお礼、報告書の印刷・送付等に経費が必要である。
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備考 |
『国際関係・比較文化研究』第20巻第2号、2022年
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