研究課題
基盤研究(C)
本研究は、法廷通訳において用いられる発話の日本語表現について、通訳人の負担が少なく正確な通訳を実現するための望ましい通訳観と通訳方法を検討し提案することを目指すものであった。しかし、コロナ禍による影響と研究者の事情により目的の調査をすることができなかった。共同研究者と実施した法廷通訳人経験者に対する調査や最近の法廷通訳の状況調査からは、法廷通訳人と法曹三者の間には通訳観や通訳に求める能力の違いがあるという従来からの状況が続いていることが分かった。
日本語教育、社会言語学
多くの法廷通訳人が高い能力と努力に支えられて仕事をこなすというシステム、また通訳人と通訳人を使用する側である法曹三者との間の通訳観や通訳に求めるものには格差があるという状況は変わらない。裁判所は法廷通訳について一般に周知したりデジタル化を進めており、徐々に変化している点は評価できるが、法廷で使用される発言が訳しにくいと通訳人が感じている状況は以前と変わっていない。本研究では大きな進展をはかることはできなかったが、こうした問題点を確認することができた。