研究実績の概要 |
現在,英語教育者向けに様々な学習サイトやアプリが提供されているが,ESPを必要とする理工系学生に合わせた教育を行おうとすると,提供されている学習サイトやアプリでは適合しない場合が多々あり,手作りで教材を作成している教員も多い。一般的に,学習者のレベルに合わせた教材作成をする場合は,学習テーマの選択,テキストの難易度判定,分量判定などが必要となる。さらに理解力確認テスト作成,成績管理まで行おうとすると,複数のアプリと煩雑な作業が必要となる。これらの点を踏まえ,本研究では殆どの教員が利用していると思われる MS Word のメニューとして教室での対面型授業およびWebを利用した事前学習・事後学習の双方に対応可能な教材の開発環境を構築し,教員の教材作成に関する手間を省けるようにすることを目指している。 MS Wordのメニューに搭載済みまたは搭載予定の機能は,1)専用ブラウザによるテキスト検索・収集機能,2)テキスト解析機能,難易度解析用辞書作成,3)紙ベースの小テスト問題作成機能,4)事前・事後学習用教材作成補助,成績管理機能,である。 R2年度は,1)総合問題作成支援機能の検討,2)新辞書登録部ユーザインタフェースの設計,3)CEFR-Jの単語リストの追加を行った。 1)は,現在は小テスト作成機能として単独で使用している機能を英語の長文に組み込んだ総合問題へと発展させるものである。2)は教員が新規の辞書,例えば工学系に特化した辞書,医学系に特化した辞書など専門教育関連の辞書を使用する場合に容易に組み込めるようにユーザインタフェース改良を目的としている。3)CEFR-Jは欧州共通言語参照枠(CEFR)を基に日本の英語教育での利用を目的に構築された、新しい英語能力の到達度指標である(投野由紀夫,東京外国語大学大学院総合国際学研究院/教授のグループが開発)。
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