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2023 年度 実施状況報告書

社会実装のための多様な「やさしい言語」に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00770
研究機関筑波大学

研究代表者

臼山 利信  筑波大学, 人文社会系, 教授 (50323225)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードやさしい言語 / やさしい日本語 / 言語サービス / 多言語対応 / 地方自治体 / やさしいカザフ語 / やさしいロシア語 / やさしいフランス語
研究実績の概要

4年目は、日本の自治体の言語サービスにおける傾向と課題を究明するための基礎研究を継続し、特に茨城県の全医療機関の多言語対応状況についての調査を行った。茨城県は15言語による検索医療情報提供サイトを、同県国際交流協会は21言語によるメディカルハンドブックを提供している。一方、同県内の各医療機関のウェブサイトの多言語対応状況について独自に調査を行った結果、病院が約3.5%、診療所-約3%、歯科医院-約1.5%、助産所-約7.6%が英語あるいはそれ以外の言語で情報を提供していることが判明した。こうした状況等を分析し、県の医療情報サイトから情報活用の実用性の観点から外国語での診療対応が可能な医療機関を入手した後、その医療機関のホームページを使って外国人が実際に利用するに至る情報経路が十分に整備されていないという新たな課題が浮き彫りになった。
また、人間の安全保障と基本的人権の尊重に通底する「安全に生きる」という視点を「やさしい言語」構築の基本理念に据えることが重要であるとの考えに至った。事例研究として、ロシア語圏諸国で生活する外国人の使用を念頭に置いた「やさしいロシア語」の構築に向けた準備作業を開始した。言語の個性によって言語形式と言語表現の点でやさしくできることに制限があることから、ロシア語について、言語的に何をやさしくするのかについて検討した。その結果、副詞と名詞の語彙を限定する、代名詞を多用することが実用効果を挙げる可能性があるという仮説を得た。
さらに、「やさしい言語」創出に向けた社会実装の一つとして『実践カザフ語入門[第2版 増補版]』を刊行し、「付録」に最小限の語彙と表現を用いて実生活の様々な場面ですぐに使えるやり取りや、カザフスタンの実生活に役立つピクトグラムを掲載する試みを行った。これは、安全に生きるための「やさしい言語」という理念を反映させたものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

社会実装につながる「やさしい言語」構築の事例の一つとして「やさしいカザフ語」の理念と実用を意識した教材を刊行することができたため。

今後の研究の推進方策

研究補助員等を有効に活用し、引き続きオンライン等で収集・整理した情報資料の分析・考察に力を入れる。また、研究を補佐する要員を積極的に活用したり、研究協力者のサポートを得ながら、調査対象の自治体の訪問や聞き取りインタビューなどのフィールドワークを本格的に進めるとともに、成果の公表を積極的に進める。

次年度使用額が生じた理由

諸事情から予定していた出張などを実施することができず、旅費等の執行が低く抑えられたため。
フィールドワーク調査と研究補助員の雇用、研究学会発表や学術的意見交換の場の拡充、研究資料などの購入等で使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 日本の地方自治体等の多言語対応研究は何に役立つか?-JALP 多言語対応研究会の現状と展望-2023

    • 著者名/発表者名
      臼山利信
    • 雑誌名

      日本言語政策学会第25回研究大会「言語政策と「空間デザイン」」(2023年6月17-18日、麗澤大学)予稿集

      巻: - ページ: 120-122

  • [学会発表] 日本の高等学校等(高専含む)における英語以外の外国語科目の開設状況に関する調査の報告―調査から見える課題と展望―2024

    • 著者名/発表者名
      池谷尚美・岩﨑和彦・臼山利信・神谷善弘・野澤督・能登慶和・廣瀨瞳・山下一夫・山下誠・山崎吉朗
    • 学会等名
      第12回 外国語教育の未来を拓く-ことばの価値に気づくための外国語教育-、一般社団法人日本外国語教育推進機構・上智大学国際言語情報研究所 、上智大学
  • [学会発表] SDGsと日本の地方自治体の多言語対応2023

    • 著者名/発表者名
      臼山利信
    • 学会等名
      第17回ワルシャワ大学日本祭・国際研究大会、ハイフレックス、ワルシャワ大学東洋学部
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本の地方自治体研究等の多言語対応研究は何に役立つか?-JALP多言語対応研究会の成果と展望-2023

    • 著者名/発表者名
      臼山利信
    • 学会等名
      日本言語政策学会 第25回研究大会、麗澤大学
  • [学会発表] 海外ロシア語研修・留学の新たな可能性を探る―カザフスタンとキルギスを事例として―2023

    • 著者名/発表者名
      臼山利信・梶山祐治・徳田由佳子・加藤百合・山本祐規子・光井明日香
    • 学会等名
      日本ロシア語教育学会 第3回 研究集会2023、京都外国語大学
  • [図書] カザフ語・ロシア語基本語彙集(作文・会話練習問題付)[第2版 増補版]2024

    • 著者名/発表者名
      二ノ宮崇司・中澤英彦・カディコヴァ サマル(著者)、臼山利信(監修)
    • 総ページ数
      172
    • 出版者
      筑波大学グローバルコミュニケーション教育センター
    • ISBN
      9784910114484
  • [図書] 実践カザフ語入門[第2版 増補版]2024

    • 著者名/発表者名
      二ノ宮崇司・マディナ シャダエヴァ(著者)、臼山利信(監修)
    • 総ページ数
      141
    • 出版者
      筑波大学グローバルコミュニケーション教育センター
    • ISBN
      9784910114491

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公開日: 2024-12-25  

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