研究課題
「内的発話」(Inner Speech)とは、自分自身への問いかけや指示出し、思考の整理や調整などに用い、音声を伴わない発話だと言われている。第二言語習得時に、コミュニケーション機能としての「音声言語生成・外言」(Overt Speech)ができるようになるには、一定の内的発話を練習する期間が必要であり、効果的な内的発話が行えるようになってはじめて第二言語習得が進むとも言われている。本研究では、第二言語習得者の内的発話使用状況と過程を解明する。また、「内的発話」の介在の有無が言語習得過程でどのような効果が得られるかを検討する。学習者にとって習熟度別に効果的な内的発話を理解・修得することで言語習得を促し、また初期の英語習得等の学習者への第二言語学習法や指導法の開発も試みる。「声にならない声」である内的発話が実際にどのように施行されているかを検証する方法として、①質問紙調査、②インタビュー調査を実施する。被験者は習熟度別英語学習者、他言語学習者、バイリンガル話者、初期第二言語学習者(特に英語学習を始めたばかりの小学校6年生、中学1年生)を対象とするさらに、これらの調査を分析したのちに、③内的発話を意識して行なった後に音声言語生成を行うことによる外言音声が発話可能な訓練方法を開発していく。上記の目的達成のため、具体的に以下の事項を実施する。1.まずは内的発話という概念について、調査対象者に理解を促す。そこから内的発話の使用を意識させ、言語活動の習得過程へと応用する。2.習熟度の異なる学習者の内的発話が、いつどのような状況でこれらを使用しているかまた、習熟度の違いによって内的発話の頻度が異なるかを検討する。その際に初級学習者の独り言発話過程も調査の対象とする。3.内的発話の獲得過程が母語話者と第二言語学習者では異なる時、バイリンガル話者がどのような獲得過程を経ているかを検証する
4: 遅れている
遅れている理由の一つに対面で、実験ができないことが挙げられる。特に英語習得を始めたてで、日本語の内的発話とのクロス状況を得ようとした小学生低学年へのアプローチができない状態である。そのため、内的発話の当初検討していたアンケート調査は後回しにして、応用の実験デザインを先に計画し始めたところであり、再度デザインから実験も組みなおしている状況である。
今後の計画は3点大きく変更して先に実験をすることにした。1点目は内的発話という観点からではあるが、言語だけが関与しているわけではないという観点から内的発話時の音声、文字、視覚の関係を見ることにした。その際に当初からの計画通り、バイリンガル話者を対象とするとともに、アスリートによる言語と運動についての方向性も検討することにした。2点目は研究分担者の領域から脳内言語マッピングからのアプローチを検討する。3点目に内的発話中の概況を観察可能かを知るために瞳孔計測による観察もデザインを立てて、試行中である。
研究の進捗状況に遅れが生じたために被験者謝金などを今年度使用することが不可能となったため次年度への使用額が生じた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
J Neurosci Res.
巻: 99(10) ページ: 2558-2572