研究課題/領域番号 |
20K00812
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
姫田 麻利子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (50318698)
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研究分担者 |
呉 栽喜 大東文化大学, 文学部, 准教授 (40326989)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メディエーション / カルチュラルコンピテンシー / 多文化家庭支援 / ファミリーランゲージポリシー / 複言語 / 文化間 |
研究実績の概要 |
2021年度も概念に関する先行研究レビューを中心に進めた。Mediation という概念は、抽象的に理解されるものというより、文脈も視野もさまざまなケーススタディに対する相互作用として、自分自身の経験や表象を述べることで意味が作られていく概念だと考える。その意味で、ソーシャルワーク分野におけるカルチュラルコンピテンス概念と重なる。それは、ソーシャルワーカー自身もしくは組織が、自らが属している文化を認識し、クライエントの文化に対する情報や知識を獲得し、それを尊重する技術を通して効果的な援助活動を行う能力かつその過程と言える。 個人が経験の軌跡を反映して心に描く表象の特異性や固有性を、描き伝え、知ることで、概念の理解の深化や実践の創意の刺激が連鎖しておこる。抽象的な用語の考察や目標能力の精査だけでなく、ケーススタディの共有と議論が重要である。緊張や葛藤のあるエピソードに着目をして、実践を支える意識の要素を明らかにすることで、自明の目標と従来の実践を変えていく学びがある。 言語教師もソーシャルワーカーも、その専門性において、複数の所属のあいだの行き来は容易ではないと知りつつ、それでも複数のアイデンティティに通用する新しいことばと役割に気づかせ、その結果、移動者自身がその複数のアイデンティティを支えとして文化間仲介者になる可能性を開く。文化間仲介者は、「出身集団に自分をつなぎとめる同族的連帯を放棄する」こともあれば、「交流先社会のコミュニケーション規範に対する支持や愛着から一線を画す」こともある。 インタビュー調査では、保育者だけでなく親に対しても言語信条をたずねるインタビューもおこない、保育者のファミリー・ランゲージ・ポリシーへの介入という観点も分析に加えることにした。繰り返されることばのなかで、言語習得、バイリンガリズム、英語に関する一般的な言語イデオロギーを抽出する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において、保育者はとくに不要不急の人との接触を避ける責任を感じているため、スケジュールの変更が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
保育者に加え、保護者に対して保育者をめぐる記憶をたずねるインタビューをおこなう。これにより、保育者による多言語家庭への介入について、より多角的な描写が可能になると考えている。 また、2022年度からは海外で開催される研究成果公開もおこなうことにより意見交換を経て、テーマに関する今後の展望も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
各国の感染対策により国際学会への出張を実施することができなかった。
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